第124話
【初めまして~。みんなもうダンジョンに入ってくれてるよね? そのダンジョンを出現させたのがこの私、女神様ちゃんで~す!】
俺の部屋に設置したテレビが勝手について、金髪の美女が映っていた。
綺麗なんだけど……。
なんか笑い方が少しムカつく。
【みんなは頑張ってダンジョン攻略してくれてると思うけどぉ、私としてはちょーっと物足りないんだよね。せっかく闘気解放っていう新しい機能もこの世界に実装してあげたんだし、もう少し頑張ってほしいな♪】
闘気解放は俺たちにダンジョンをもっと攻略させようとして追加されたんだ。
でもあれ、使いこなせる人はまだまだ少ない。いきなり筋力とかが3倍になって、それを戦いで活かせる人なんてほとんどいないんだ。
ちなみにSクラスのみんなは出来る側の人間。
【もっと闘気解放を使って攻略してね。ちなみに私、次は
それって、俺と玲奈が攻略してるとこじゃん。
世界で最も攻略が進んでいるダンジョンでもある。
【一番最初に私のところまで来た1組とだけ特別に戦ってあげる。私が操るフローラに勝てたら、なにか特別なアイテムが手に入っちゃうかもね~】
……ほう。
てことはやっぱりウンディーネの時も最初の一回だけ女神が中に入ってたんだ。
第6等級ダンジョンでも、あれと同じ状況になると。
これはもう俺に向けた宣戦布告と捉えて良いだろう。俺たち以外のパーティーは、どこも第5等級ダンジョンのボスを突破できていない。あそこが関門となって、多くの一流攻略者が二の足を踏んでいる状態だった。
俺たちが攻略をサボっているから、催促しに来た感じだな。
【それじゃみんな! 木叢のダンジョンで待ってるねぇ~!!】
その言葉を最後に画面が消え、声も聞こえなくなった。
俺たちが攻略中のダンジョンのラスボスに女神が入るのは、きっと偶然じゃない。
女神が俺たちと戦いたがってるってことだろう。
前回のウンディーネ戦で、俺は女神を圧倒した。
アレで心が折れなかったんだ。
話し方とか、俺と戦った時の反応から、力の差を見せつければ当面は俺たちの前に姿を見せることはないだろうって。
でも違ったみたい。
思ってたより強メンタル。
また戦おうって思ってくれた。
女神が自信を持つほどの力を身につけたのかもしれない。
それは今回も、本来のフローラが使えない大技を使ってくる可能性もあるってこと。そうなると……。玲奈とふたりだけで攻略するのは厳しいかもな。
ここで俺はある作戦を思いついた。
今の俺には一緒に戦える仲間がいる。FWOの元最強プレイヤーと、忍の技を修得した俺が鍛えた最強の仲間たち。
さらに先月、俺と玲奈はとあるアイテムをゲットしていた。
それを使えば……。
女神が驚く顔を見られるかもしれない。
俺は
だけど、まだ女神は倒せない。
俺の勘がそう言ってる。
今回はそれで良い。
もう少し四刀流を楽しみたいし。
ちゃんと神様の依頼に取り組んでいますよってアピールもできる。
ウンディーネは第6と第8という上位ダンジョンのラスボスの大技を行使してきた。同じように女神が入ったフローラも更に上位のラスボスの技を使ってくる可能性が高い。ウンディーネが使った技は全て水系だったから、系統は変わらないと考えて良いだろう。
となると今回は植物系か。
女神が使用してきそうな大技を考えていく。
あぁ。やっぱり俺、こーゆー攻略を考える時間が好きなんだ。
「よし。久しぶりにダンジョン攻略を進めますか!」
仲間の育成をどこまでやるべきか悩んでいた。既に俺の仲間たちには第8等級ダンジョンまで苦労せず攻略できるだけの力があるはず。それでもみんなにはまだ伸びしろがあった。
そんな中、
勝てば特別なアイテムが貰える可能性も。
じゃあ、行くしかないよね。
一旦育成は終了し、本格的にダンジョン攻略を再開することを決めた。
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