第106話 〈匿名掲示板〉
匿名掲示板のダンジョン攻略スレにて──
〈東雲学園が今日入学式だな〉
〈俺は試験クリアできんかった〉
〈俺も俺も〉
〈ここにいるってことはそうだろｗｗ〉
〈私もダメだった〉
〈ハヤテ君と通いたかったなぁ〉
中には入学試験への不満を漏らす者もいる。
〈ダンジョン攻略者育成機関なのに、ある程度ダンジョン攻略できないと入学できないとかありえなくね！？〉
〈国と財閥は雑魚を求めてないんだよ〉
〈ダンジョンを制す者が世界を制すから〉
〈そーゆーこと〉
〈初心者用の学園も今後設立されるって〉
東雲学園は国主導の研究・教育機関。ダンジョンを研究し、そこからえられる利益を最大のモノとすべく設立された──というのが、表向きに公表されている情報。
実は東雲玲奈が雫石颯と一緒の学校に通いたいからという理由だけで創設されたという事実を知る者は多くない。
東雲学園ではどんな授業が行われるのか議論が行われ始めた時。
〈な、なぁ。ＳＮＳが盛り上がってんぞ〉
〈なにで？〉
〈なんかハヤテがやらかしたか〉
〈アイツならやりそうｗｗ〉
〈流石に初日からはないだろ〉
颯たちが東雲学園に入るということは広く知られている。規格外の彼なら入学初日からなにかやらかすのではないかと、スレ民たちはどこか期待していた。
〈南雲財閥の御曹司ボコしたって〉
〈やらかしとるｗｗｗｗｗ〉
〈御曹司って龍之介だろ？〉
〈第４等級ダンジョン踏破する猛者だぞ〉
〈ちなみにコレがその動画な〉
スレに動画が貼り付けられた。どうやらその場にいた生徒の誰かが撮影し、ＳＮＳにアップロードした動画のようだ。
ちなみにこの掲示板では貼られた動画にリアルタイムでコメントをすることが可能。同時視聴で数千人のスレ民が颯と龍之介のＰＶＰ動画を確認する。
『闘気、解放！！』
〈待て待て待て待て！〉
〈なんで対人で闘気解放してんだよ!?〉
〈相手死ぬだろ〉
〈でも龍之介も善戦してる？〉
〈いや、防御が遅れてきた〉
〈あっ、やばそ〉
〈うわぁぁあ……〉
〈ぼ、ボッコボコだな〉
圧倒的な実力差で南雲龍之介を倒した颯に、スレ民たちはかなりひいていた。
〈そもそもなんで戦ってんの？〉
〈龍之介からＰＶＰ申請したんだと〉
〈ハヤテに挑もうとしたんだ〉
〈実力試したかったとか？〉
〈じゃあハヤテがガチな理由は？〉
〈対人戦で闘気解放はヤバい〉
〈颯君、怒ってるみたいじゃない？〉
〈うん。なにか理由がありそう〉
女性ファンたちは颯を擁護しようとしていた。
〈ハヤテが怒るっていうと〉
〈エレーナ絡みかな〉
〈そんくらいしかキレんだろ〉
〈女神がウンディーネ冒涜した時も〉
〈あー。それがあったか〉
〈ＦＷＯを馬鹿にされた？〉
〈龍之介プレイしてなかったもんな〉
〈それで今の踏破速度は凄いぞ〉
〈だから彼もＳランクなんだって〉
東雲学園にランク制度があること。そして著名なダンジョン攻略者たちがどのランクになっているかは一般人にも情報が公開されていた。
〈同じＳランクでも颯は別格〉
〈格の違いを見せつけたわけか〉
〈四刀流バカのアイツが？〉
〈わざわざそんなことしないだろ〉
〈俺はエレーナ関連だと思うけどな〉
〈ちな、龍之介は可愛い許嫁がいるぞ〉
〈うちの嫁のが可愛いって言ったとか〉
〈なるほど〉
〈それで颯が挑発に乗ったと〉
〈でもエレーナが一番可愛いって認めさせるためだけに、対人戦で闘気解放して財閥の御曹司ボコすとか流石にないだろｗｗｗ〉
〈…………〉
〈…………〉
〈…………〉
〈……ハヤテなら、やるんじゃね？〉
〈やるだろ〉
〈全然ありえるぞ〉
〈颯君はやるね〉
〈ウチもそう思う〉
こうして東雲学園で生じた騒動の理由が勝手に広まっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます