第104話

 

 直人たちもモンスター討伐試験を受け、全員がスコア800オーバーでSランクだと言われた。その後ダンジョンに関する筆記テストを受けて試験が終了した。


 今は玲奈とふたりで拠点に帰る途中。


「疑似戦闘も筆記も、全員が最高のSランクって言われて良かったね」


「うん。直人たちも俺の配信をしっかり見てくれてるから、たいして勉強しなくても大丈夫だったみたい。ところでSランクって、なんかゲームみたい。あれって玲奈の指示だったりする?」


 ランキングならABCD……で良いじゃんって思う。なんでSがAの上に来るのが、いまいち納得できない。ゲームやラノベではよくある表記だと思うけど、リアルではあまり使われないモノだと思ってた。


「企業とかも与信管理の格付けでAの上にSランクを位置づけてたりするんだよ。あと昇級やボーナスの査定に影響する人事評価制度でも凄い成果を残した社員さんにSランク評価を付けることもある」


「へぇ。そーゆーもんなんだ」


 与信管理って何だろ?

 企業経営関連の単語かな。


 玲奈はいくつかの会社で役員をやってるらしい。俺はこういうちょっとした言葉とかで、彼女が巨大財閥の御令嬢なんだっていうのを実感していた。


 そんなお嬢様に、俺は今からとある提案をする。


 受け入れてもらえるかドキドキしてる。



「玲奈は12月24日、なにか予定ある?」


 そろそろクリスマス。

 はじめて彼女がいる聖夜。


「クリスマスイブ? うん、予定あるよ」


「そっか、良かった──って、ん? よ、予定あるの!?」


 想定外の返事に焦る。

 『ないよ』って言われると思ってた。


「クリスマスイブはね、東雲財閥傘下でも特に大きな企業が集まるパーティーがあって、私も主催者のひとりだから参加しなきゃいけないの」


 そうなんだ。

 それじゃダメか……。


 玲奈と一緒に過ごしたかったのに。


「でもお父様に交渉して、今年は不参加にさせてもらった。クリスマスイブは推しと一緒に過ごすつもりだよ」


「えっ」


 玲奈の推しって……。

 それって、俺のことでは?


「逆にハヤテは予定あるの?」


「ないけど」


「良かった! それじゃあ、一日中一緒にいられるね!」


 玲奈が俺の腕に抱き着いてくる。

 

 なんだろう。

 この高揚感は。


 一度軽く絶望した後の嬉しい出来事に、脳の処理が追い付かない。


「ちょっと意地悪だったかな。ごめんね」


「いや。なんか普通に予定空いてるって言われるより、たぶん俺は喜んでる」


「やっぱりそうだよね」


「やっぱり?」


「えー、覚えてないの? 私の誕生日、知らないふりしてたでしょ。あの時の私、今のハヤテと同じ気持ちだよ」


 あれかぁぁ!!


 あれは愛奈さんの提案だったから、その……。


「愛奈のせいにしようとしてるでしょ」


「……うん。ごめん」


 察しが良すぎませんかね。


「そんなことより、どこ行く? 綺麗な夜景見るとか、美味しいディナーを食べに行くとか。全部ハヤテが決めてくれちゃってもいいけど」


 実はちょっと考えてた。


 お嬢様の玲奈はきっと、綺麗な夜景に見慣れ、美味しい料理も食べ飽きちゃってるんではないかと。そんな彼女に少し変わった提案をしてみる。


「直人たちと一緒にクリスマスパーティーするのはどう? ルルロロさんも呼んで、料理は自分たちで作ったりする」


 規格外のお嬢様だからこそ、仲の良い友人たちだけでのパーティーとかレアなんじゃないかって考えた。


「え、なにそれ楽しそう! あっ、だけど芽依さんたちは、ふたりで過ごしたいって言わないかな?」


「それは大丈夫。実はあいつらにはもうOKもらってる」


 玲奈さえ良いなら開催決定なんですよ。


「そうなの? じゃあ私、みんなと一緒に過ごしたい!!」


「はい、決定ね。俺らの拠点で開催予定なんだけど良いかな?」


「もちろん! 飾り付けとかするの、実は憧れてたりする」


「ちなみに夜は直人たちもルルロロさんも家に帰るし、なんかその日はアマテラス様もお出かけするんだって」


 もちろん偶然じゃないけどね。


 拠点と呼んでる俺たちのマンションに創られた神域。基本はそこに引きこもっている神様と交渉して、その日だけはどこかに外出してもらえることになっていた。


「そ、それじゃあ、夜は私とハヤテだけなんだ」


「うん」


 添い寝は確定です。

 それ以上に進めるかな?


 まだ早いか?

 まぁ、その場の雰囲気で。



「ハヤテと、ふたりっきり……」


 頬を赤くしながら胸の前で手を握る玲奈。

 彼女も楽しみにしてくれてるみたい。


 はぁ。

 可愛いなぁ、もう!


 イブまでまだ時間があるけど、今から楽しみ過ぎた。



 


───────────────────────


【あとがき】


物語上の時間軸とリアル時間を合わせられず、季節外れのお話になってしまいましたぁぁぁ!


まぁ、しゃーないよね。


えちちな話をカクヨムでは書けないので、書籍が出せたら書くことにします! 

ちなみに編集さんからはそーゆーの書いても良いよって言ってもらってます。


このお話を書くとしたら書籍3巻くらいになると思うので、まずは1巻が売れないと2巻が出せません! そして2巻が売れないと3巻が出せず、クリスマスイブのお話が書けませんっ!!


てことで1巻の告知もまだできてない状況だけど、出たら買ってねぇぇぇ!!!

(どんだけ先のこと言ってんだかww)



明日から『3章 東雲学園』に突入します!

入学後の颯たちの無双をお楽しみに~(ノ*´▽`*)ノ

 

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