第087話
「ん? あぁ、
高校の友人、
1年生の時に俺と直人はクラスの席が前後で、互いに中学から同じ高校に進学した人が周りにいなかったから自然と仲良くなった。2年に進級しても同じクラスだった。高校で出来た俺の一番の友人だ。
届いたメッセージを開く。
『川崎第二なくなるらしいんだけど、もう聞いた?』
……は?
川崎第二は俺の通ってる高校だ。
それが無くなるって情報があるらしい。
え、マジ?
『いや、知らんけど』
メッセージを返信するとすぐに帰ってきた。
『さっき転校の案内を親に見せられた』
『もしかして自宅に届く系?』
『そうだと思うけど』
『やべ、俺しばらく自宅に帰ってない』
『親は?』
『マスコミに囲まれるから海外に行ってる』
『あぁー。そゆことね』
これだけデジタルが発達してても、大事な書類ほど紙で送ってくる文化よ……。
『写真送ろか?』
『すまん、よろ』
直人が案内状を撮って送ってくれた。
そこには県立川崎第二高等学校の閉校が決定したこと。そしてその場に新たな教育機関が設立されることが書かれていた。
ダンジョン攻略を専門とする学園。
名称は未定って書かれてる。
でも国立ってことは確定してるらしい。
国の決定ってことか。
じゃあ川崎第二は本当になくなるんだ。
…………コレも女神のせいじゃね?
女神への憎悪が一段階強くなった。
直人と同じ学校いけなくなるのは嫌だなぁ。
『直人はダンジョン攻略しないの? VRじゃないんだから酔わんでしょ。運動神経は良いんだし、配信でも稼げる』
『うん、ちょっと悩んでる。死ぬかもしれないってのが怖いんよ』
それがあるから強要はできないな。
できれば一緒に通いたい。
『てか颯は生徒じゃなくて教師として採用されるんじゃね?ww』
『教師? 俺が?』
『お前、SNSで“歩くダンジョン攻略図鑑”って呼ばれてんの気付いてないんだ』
『なんそれ』
『俺、今でも颯の配信は全部見てるよ。解説しながらモンスターと戦ってんの凄すぎ。でもアレ見てると自分でも出来る気になるから』
『おぉ。てことは俺が戦い方教えてあげるって言ったら一緒に新しい学園行ける?』
『合衆国大統領が最強って認めちゃう攻略者が専属トレーナーになってくれるの嬉しすぎるけどさ、たぶん芽依がすんごい心配するんだよなぁ』
直人には
幼稚園からの幼馴染なんだと。
俺は“さきのん”って呼んでた。
3人で遊ぶこともあった。でも直人はVR酔いの症状が激しく出てしまうから、FWOはやれなかった。遊びに行くのはカラオケとかが多かったかな。
一緒にFWOは出来ないけど、直人は俺の配信に良く来てくれた。まだ視聴者が少なかった時は彼の書き込みに力を貰えた。
テストが近い時とかは3人で勉強会を開いたりもしていた。
ただダンジョンが俺の高校を飲み込んでからは会ってない。高校がずっと休校になっているのと、俺があちこち飛び回っていたから……。
久しぶりに会いたいな。
そう考えていると、あることに気付いた。
『新しい学園に行くか転校するか、さきのんも一緒に相談しようよ。よく考えたら俺はダンジョン攻略の専門学校に行く必要ないからさ。直人たちにあわせる』
そう、俺はどっちを選んでも良いんだ。
新学園も気になるっちゃ気になるけど、友人と離れるより優先度は低い。
『おけ。芽依は今日このあと時間あるって言ってたから、3人で話そうか。いつもの所でいいよね?』
『あ、俺はちょっと離れたとこに引っ越しから、ちょっとゆっくり向かって』
『りょーかい』
今後のことを決めるべく、俺はいつも3人で過ごしたファミレスへと向かった。
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