第342話 ヘスティアと魔改造惣菜と翠ジンソーダ 柚絞りと


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 そう、これは私がミカンちゃんに留守番をお願いした日の事ね。まぁ、特に期待はしていなかったんだけど、隠しカメラを設置して後ほど閲覧したお話ね。ミカンちゃんはいつも通りリビングにあるソファーにひっくり返りながらテレビでアニメを見て、スマホでゲーム、タブレットで動画を閲覧しながらポテチとコーラを用意して完全形態で寛いでいると。

 

「かーなーりーあーちゃーん! あーそーぼー!」

 

 ニケ様が来てたのね。ミカンちゃんが逃げ出そうとしてるけどニケ様が私n部屋全体に何かをしたらしく逃げられないみたい。

 

「勇者、女神の力を迷惑に使う事を拒否する」

「勇者、金糸雀ちゃんがいませんが? デュラハンもいませんね?」

「金糸雀はいんたーんとやらにむかい、デュラさんはいろはの家にて料理とをせり。今日は戻らぬと言えり。そして気づく地獄がここにあり」

 

 そう、私は某外資系企業にインターンに行ってるの。社内公用語が英語という事で殆ど片言で話してるけど、かなり為になるわ。ミカンちゃんとニケ様の二人っきり、とんでもない事が起きるような気がするんだけど、私が帰ってきた時にはキッチンも綺麗だったのよね。

 その真相が明らかになるわ!

 

「勇者、お腹が空きました!」

「う、ウゼェ! クソウゼェなりにけり!」

 

 うん、ぶっちゃけ第三者的に見ると凄い面白いわね。ミカンちゃんかなりキテるわね。日頃ニケ様が来る時に先行で逃げ切りしてたのにいざ逃げ切れないとこうなるのね。ミカンちゃんはあたりめを持ってくるとポイとニケ様に放り投げたわ。

 

「おいしー!」

 

 むしゃむしゃとあたりめを食べるニケ様にため息をついてミカンちゃんは冷蔵庫を漁ると、スーパーのお惣菜群を取り出したわ。

 

「今日の留守番にて最強のパーティーを用意せり!」

 

 近所のスーパーのお惣菜ね。コロッケに唐揚げにエビチリ。手頃な価格帯で食べられるご馳走をチョイスしたわね。

 

「勇者、私もいただきます」

「えぇえ! これ勇者の“昼餉“にて迷惑を被れり」

 

 そんな事言わずに分けてあげなさいよ。すると、ニケ様は冷蔵庫から勝手にお酒を取り出したわ。

 

「勇者、これが合いそうな気がしますねぇ」

 

 あれは! 新製品の翠ジンソーダ 柚絞りじゃない! なんで人の家の冷蔵庫勝手に開けちゃうのかなぁニケ様はぁ。まぁいいか。

 

「勇者、これが飲みたくないのですか? シュワシュワですよぅ」

 

 うん、私の家のお酒をさも自分のもののように錬成してしまったわ。ミカンちゃんもうーん、むーんと悩んだ挙句、お箸で全部半分こしたわ! えらい!

 

「やむなし、しゅわしゅわの誘惑には勇者は惨敗をきす」

 

 ガチャリ。

 

 来た! 誰がきたの? ほんと、誰がこの惨劇をどうにかしたのかしら? 私が行かないとミカンちゃんもニケ様もお出迎えに行かないのね。二人はプッシュと翠ジンソーダ 柚絞りのプルトップを開けて今、飲もうとしている時。

 

「コラぁ! 私がきたのに、ニケ。それに勇者。反応なしとはどういう事だい?」

 

 なんか、ねじり鉢巻にエプロンドレスのお姉さん来たけど? 活発そうで、ニケ様の事を呼び捨てだからきっと神様の類なんでしょうね。

 

「げ……飯炊き女神なりにけり」

「あら、ヘスティアじゃないですか? なんですか? 見ての通り私は忙しいのですが」

 

 ヘスティア、ヘスティア。ググると、釜戸の女神様なのね。そのヘスティアさんはミカンちゃんとニケ様を見て、

 

「だらしない! そんな出来合で済ませようなんて、アポロンとポセイドンが許してもぉ、このヘスティア姉さんは許さないぞ! 没☆収!」

「ぎゃあああ! 勇者のお惣菜が……」

「ヘスティア! 何をするんですか!」

 

 ヘスティアさんはそれらお惣菜をキッチンに持って行くと、ぶら下がっているフライパンや安全に置いている包丁を見て、

 

「結構いい道具が揃ってるじゃない。私が、一つ手を加えてあげようじゃない!」


 マジで? 羨ましいんですけど! 私もこの場にいたかったわ。冷蔵を勝手にヘスティアさんも開けて……神様って冷蔵庫勝手に開けるのマストなのかしら?

 

「勇者、この家の家主に、これを渡しなさい」

「アダマンタイトなり」

「材料を少し分けてもらうからその料金」

 

 前言撤回、ヘスティアさんはまともだわ! ピーマン、にんじん、玉ねぎを炒めると甘くとろみのついた餡に唐揚げを放り込んだわ。酢豚ならぬ酢唐揚げ!

 お次はエビチリをフライパンに一口大のブロッコリーとお湯をかけて炒めると、溶き卵を入れて蒸し焼きに、甘辛エビとブロッコリーのオムレツ!

 

「あとはコレか」

 

 コロッケ? コロッケをどう魔改造するのかしら? かつとじ風かしら? と思ったら、コロッケをぐしゃぐしゃに潰してトマトケチャップ、トマトジュース、コンソメ顆粒と混ぜて、ピザ用チーズと粉チーズをかけてオーブンへゴー! グラタンに変えたわ!

 

「はい、お待たせ! 君たち、私にはそのお酒はないのかい?」

「えぇ、金糸雀のお酒にて……」

「そうですよ! 恥を知りなさいヘスティア」

 

 ニケ様、貴女がよ。ヘスティアさんはお惣菜の魔改造料理を二人に見せると、

 

「じゃあこれは食べなくていいらしい」

「飯炊き女神に乾杯なり!」

 

 即座にミカンちゃんが寝返ったわ。まぁ、お酒の一本や10本くらい別にいいわよ。

 

「私とヘスティアに乾杯です!」

「一度来てみたかったんだよ! ニケの信徒の部屋、乾杯!」

 

 また神様たちの世界で嘘言ってるんだ。あぁ、みてると私も翠ジンソーダの柚搾り飲みたくなってきたわね。私ものーもおっと! まずは酢唐揚げをパクりと食べたミカンちゃん。

 

「うきゃあああああ! うみゃああああああ! シュワシュワが合いぃ!」

 

 美味しそう。野菜もシャキシャキでやるわね。ヘスティアさん、三人が舌鼓を打ちながら酢唐揚げを食べ終わり、ロング缶2本目で甘辛エビとブロッコリーのオムレツに入ったわね。ミカンちゃんが口一杯に頬張って翠ジンソーダ 柚絞りで流し込んでるわ。

 

「ヘスティアぁ! 私よりも勇者ばっかりエビが入ってずるいー!」

 

 出たわね。ウザ絡みニケ様、ヘスティアさんはどうするのか?

 

「あぁ、美味しいお酒ぇ!」

 

 完全に無視を決め込んでるわ。そして最後にコロッケで作ったグラタンを持ってくると、三人分均等に分けて……とろけるチーズが美味しそう! スーパーのお惣菜をここまで魔改造かするなんて、本当にヘスティアさん凄いわ! 今度デュラさんにも見せてあげよう。

 

「うまうま! 飯炊き女神つよつよぉ! 勇者これ好きー!」

 

 ミカンちゃんの三大歓声を全て出せるなんてただものじゃないわ! プシュッと三本目に突入する三人の飲み会。ニケ様もめちゃくちゃ酔ってるのに、まだ飲むのね。終いにはヘスティアさんの足にしがみついて構ってもらおうとしてるけど、ヘスティアさん……!

 

 嘘でしょ!

 

 食べた物を全部ゴミ箱、そして洗い物は洗い始めえてくれたわ。ミカンちゃんは翠ジンソーダ 柚絞りを飲みながらテレビを見始めて、お腹いっぱいだからかうとうとしてるわね。

 ヘスティアさん、キッチンを綺麗にしてくれるとしがみついているニケ様を振り解いたわ。

 

「じゃあ、私は帰るから、本当に人間の、それもこの世界の食べ物とお酒は信じられないくらい美味しいわ! また来ようかな? 家主にも挨拶しておきたいしね。じゃあニケ、勇者。おやすみなさい」

「おつー!」

「ヘスティアあああ! 金糸雀ぢゃんがかえってごないーー」

 

 最後に私が仕込んでいた隠しカメラにヘスティアさんはウィンクすると玄関に向かって消えたわ。

 いい!  

 

 かっこいいし、美人だじ! いいわ!

 

「こんばんわー!」

 

 ニケ様がきたわね。私はニケ様をお出迎えすると、

 

「ねぇねぇ、ニケ様ぁ! ヘスティアさん次はいつくるんですか? 呼んでくださいよぅ! お願いしますよぅ!」

「ヤ! です! なんですか金糸雀ちゃん! 女神の前で他の女神の話をするとか無礼ですよ!」

 

 その日、私はニケ様にうざいくらいヘスティアさんがいつくるのかを尋ねまくってニケ様がお酒を飲む前に帰って行ったわ。

 残念。

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