第64話 【メンタルスキル】とイレギュラー

 私の名は女神ゼクシー。

 この世界『エニワン』の管理者よ。


 最近、私はエリアスに勧められた通り、通信教育で資格取得を目指しているの。

 これからは高齢化社会だからヘルパーの資格を目指しているわ。


 私なんてまだ女神になってから数万年だけど、数百万年生きてる神様もいるから。

 資格をとっておけば将来、転職するにも職業選択の幅ができるしね。

 

 若い神様はだんだんと生まれなくなってるし。

 これからは高齢化社会で、お年寄りがお年寄りを世話をする時代がやって来るわ。

 それに年金受給者が多くなると、支給額も少なくなるし。

 私が年金をもらえるようになる頃には、それだけでは食べていけないくらい少額になるはずよ。


 だから将来、生活に困らない様に段々と、資格をとってお金も貯めていこうと思っているの。

『芸は身を助ける』て言うでしょ。




 どれどれ私の愛しのエリアス君はどうしてるかな?


 ほ、ほう~。

 レッドキャップ程度を倒したからって男爵ね。

 私ならデゴピンで倒せるわよ~。


 しかい良い具合にエリアスは壊れてきてるわね。

 例えば【メンタルスキル】ね。


 これはエリアスが、この世界でうまくやって行けるように望んだスキルね。

「沈着冷静で物事の先読みが出来て、人から好かれるようにしてほしい。一人で生きていく以上、メンタルや性格も大事だからね」

 彼は転移する前にそう言っていたわ。


 でも驚いたわ。


 エリアスはレッドキャップを倒してレベルが上がった。

 でもそれはステータスだけではなくて、【メンタルスキル】も同じように上がったなんて。

 信じられないわ。


 まずは『沈着冷静』ね。


『沈着冷静』て、落ち着いていて冷静なさまね。

「沈着」は、驚いたり取り乱したりせず物事に動じない態度のこと。

「冷静」は感情的にならず理性的で落ち着いた態度のこと。

 物事に動じない、理性的で態度よ。


 その影響で喜怒哀楽が乏しくなり、表に出る感情の起伏が無くなってきているわ。

 怒りや喜びも一瞬で冷める、てことね。

 奥さん達に対しての愛情表現も乏しくなってしまうわ。

 可哀そうに。



『高速思考』もレベルが上がり、絶えず物事を高速で考えているわね。

 しかも『隣の家に囲いが出来たんだってな』、『へえ(塀)かっこい~『E』』的なくだらない小ネタを含めてね。

 人は無意識に何かを考えているのよ。

 それを高速で常に考えているたから、独り言が多くなり、頭が疲れて眠くなってしまうみたいだわ。


 心の中では喜怒哀楽はあるけど、それが表にはでない。

 本人にもわからない、スキルの弊害が出てきているわね。



 『魅力』のレベルも上がり、波長の合う人の心の隙間に入り込む。

 そして夢中にさせてしまうのよ。

 はあくまでも、人から好かれるためのスキルね。

 エリアスが知らない世界で1人で寂しくない様に、身近な人が出来るように、私が授けたのよね。


 エリアスの『魅力』は例えば赤ちゃんが笑った顔を見て、思わず癒され無意識に微笑んでしまうように。

 エリアスを見てその1万倍の癒しを受け、周りが見えなくなってしまう。

 そして接している内に虜になり判断能力も無くなり、エリアスをただ見ていたくなる。

 鑑定しても分からない。

 なぜなら『呪いカーズ』でも『魅了チャーム』でもないから。


 そして時間を重ねれば重ねるほど『盲目』的になって行く。

 まして体を重ねれば…。

 周りの事が見えなくなり、エリアスの言う事が絶対になる。

 だからオルガには、わからないのよね。



 そしてエリアスね。

 彼の【生存スキル】スキル譲渡て、なに?


 生きながらえるために、生き残るために自分のスキルを誰かに譲渡する。

 自分は駄目でも相手が違えば、同じ能力でも使いこなせるかもしれない。


 スキル譲渡はエリアスを受け入れ、エリアスの遺伝子の一部を吸収することによって相手が得られるスキルみたいね。

 子供ができる代わりに、スキルを得ることができるなんて。


 あの嫁3人もある意味、凄いわ。

 魔法はたしかにイメージが大切だけど。


 オルガのAgility素早さ UP、Vacuum真空 swordWind slashウィンド スラッシュ

 ルイディナのAir shotエアショットChasing arrow追う矢

 極めつけはパメラの空間結合ね。

 いくらエリアスに吹き込まれたからと言って、それができると思うなんて。

 そして実現できるはずがないのよ。

 


 そしてエリアスを信じる気持ちと単純さね。

 お馬鹿さんで想像力が豊かな人達はこれだから困るわ。


 そして彼女達の想像したことを実現できる思い込み。

 そうね、創生魔法に目覚め始めている、てことかしら。


 彼女達がこのまま伸びて行けば、とてつもない能力に目覚めるかもね。



 でも困ったわ。

『世界』は『イレギュラー』を認めないのよ。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 読んで頂いてありがとうございます。

 面白いと思って頂けたら★マーク、♥マークを押して応援頂くと励みになり嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る