第62話 親切な村人たち

 俺達は夕方になり、アルマン食堂?、ええい、もういいやアルマン食堂で。

 アルマン食堂に夕食を食べに向かっている。


 女子集会で何があったのかは知らないが、オルガさんは目が赤くなっており、他の2人はなにか気まずそうだ。

 やはり女3人だと難しいのかな。

 いじめとかないよね?

 そんなこと聞けないしね。

 仲良くやってほしいものです。


 その前に雑貨屋のマティさんのところに寄らないと。

「こんばんは、エリアスです」

「待ってたよ、エリアス君」

 奥からマティさんが出てきた。

 

「4人共、ちょっと奥に来てくれる」

 そうマティさんに言われ、奥に入った。

「なんとか、かき集めてあげたよ。寝具4人分だ」

「えっ、あったんですか?」

「もちろん中古さ。何件か家を当たって、使わなくなった物を集めたのさ」

「ありがとうございます。マティさん」

「まあ、さすがに今夜の寝具がないと言われてはね」


 しかしマティさんの他に3人40~50代の女性が居る事に気づいた。

「あの~、そちらの方たちは」

「あぁ、今回、寝具を譲ってくれた向かいの奥さんのペニーさん。2軒左隣のレジーナさん。斜め向かいのフリーダさんだよ」


「エリアス君ね、どうぞよろしく」

「家族がこの村を出ていき、使っていた寝具も残っている家もあるからね。必要なものがあったら譲れるかもしれないから言ってね」

「まあ、可愛い坊やね。困ったことがあったら相談に乗るからね」

「はい、ありがとうございます」


 俺はマティさんに高いのか、安いのか分からない寝具の金額を支払った。

 なんせ相場が分からないから、値切るのは失礼だしね。


「またなにかあったら言っておくれ、出来る限りの事はするからさ」

 俺は寝具4人分をストレージに仕舞った。

「な、なんだいあんた。マジック・バッグ持ちだったのかい、凄いね」


 ストレージが当たり前になっている俺には、今更隠す気にもなれなかった。

 そしてお礼を言い、俺達は店を出てアルマン食堂に向かった。



 アルマン食堂に入ると、店はそこそこ混んでいた。

「いらっしゃい。待ってたわよ」

 そう言ってコーネリアさんが迎えてくれた。

「さあ、席に座っておくれ」

 俺達は4人掛けのテーブルに座った。


「で、何にするんだい?」

 いや、なにてメニューないんですけど。

「何が出来ますか?」

「肉料理、野菜料理、魚料理だよ」

「魚料理て、ここから海は近いのですか?」

「遠いよ、だから干物さ」

「まさか肉も」

「そんな訳ないだろう。今日は取れたてのラプタ(鳥)肉さ」

 俺達は無難な肉料理を4人前頼んだ。


 しばらくするとコーネリアさんが、料理を運んできた。

「そう言えば寝具は買えたかい?雑貨屋のマティが昼間、寝具を探していたからね」

「えぇ、中古ですが4人分揃えてもらえました」

「それは良かったね。困ったときには誰かに言えば、手を貸してくれるからね」


「それからコーネリアさん、紹介がまだでしたね。俺はエリアスです。そしてこちらが嫁のオルガ、ルイディナ、パメラです」

 するとここでもコーネリアさんは、驚いたようにオルガ達3人を見てこう言った。

「えっ、冒険者仲間かと思ったら嫁さんかい。大変だね」

 ここでも同情された。なぜだ?


 そしてコーネリアさんが店を出て、どこかに行った。

 すぐに戻って来たけど。

 なんだったんだ?


 すると40~60代の女性4人組が店に入って来た。

 他にテーブルが開いているのに、俺達から側のテーブルに座った。

 

「ねえ、コーネリア。彼がそう?」

「ええ、そうよ。今日からこの村に引っ越してきたエリアス君よ」

「私はこの店の隣に住んでいるテレーゼよ。よろしくね」

「テレーゼだけ、ズルいわ。私は真向いに住んでいるロザモンドよ」

 それから後の2人はカーラさんにデイジリーさんだった。

 紹介されるのは良いが名前が覚えられない。


 雑貨屋のマティさんのところで3人、ここで4人。

 いったいどれだけこの村の人は親切なんだ。


「あら?一緒に座っている方たちは、冒険者仲間の方たちなのかしら」

「それがロザモンド。私もさっき知ったけどエリアス君の奥さんなんだって」

「えっ、3人共?」

 するとマティさん達と同じように、オルガ達3人を見てこう言った。


「あたなも大変だわね」

 また言われた。


 そして嫁3人を見ると、物凄い顔をしてテレーゼさん達を睨んでいた。

 おいおい、仲良くやってほしいな。


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