第59話 仕事の話

 俺達は以前、この村の領主をしていた男爵が住んでいた家の中に入った。

 1階は12畳くらいの居間と部屋が1つと台所とトイレだ。

 2階は部屋が4部屋あった。


 アンティークな家具がベッドが各部屋に置いてあり、以前住んでいた世界なら高く売れたろうなと思った。

 でもこの世界ならだたの古い家具だ。

 所変われば品変わる、とはよく言ったものだ。


 2階を俺達4人の部屋にする事にした。



 時間的にはまだ午後を過ぎたばかりだ。

 嫁3人と村の中を歩いてみようと外に出た。


 歩いて分かったことは南の門から村に入り、門側に商店が何件か並ぶ。

 奥に行けば行くほど、商店はなくなり普通の民家になる。

 そして村長の家があり、その奥に農地が広がっている。

 農業をしている人達が奥に住んでいるのか。


 俺達の屋敷?は、村の南門から入り商店を抜けると左に道がある。

 そこを曲がると少し高台になっており、そこに屋敷が建っている。

 50~60世帯の小さな村だ。

 すぐに見るところは無くなる。

 

 商店だけでもどんな物を売っているのか確認しておくか。

 それに欲しいものがある。

 屋敷に家具はあっも中は何もないからっぽだ。


 ファンタジーなら屋敷をもらえば、生活用品が整っているが実際はそうではない。

 なぜなら現実だからだ。

 そして俺達は今まで宿屋暮らしだったから、生活用品すらない。

 今夜寝る、寝具くらいは欲しいよな。


 僅かにある商店街?を歩いていると、あるのは鍛冶屋、木工屋と、食堂らしい店があった。

 俺達は自炊が出来ないので、食堂からまずは探さないと。

 そして食堂らしい店の中に入った。


「いらっしゃい!」

 店の中に入と40代と思われる体格のいい、お母さんタイプの人が出てきた。

「4人かい?」

「ちょっと聞きたいのですが、ここは食堂ですか?」

「そうだけど、あんた達、この村は初めて?冒険者かい。」

「え、ええまあ。そんなようなもので。この村に住むことになりまして」

「へ~そうかい!それは良かった。若いものは出ていくばかりでね。住んでくれて嬉しいよ」

「住むのは良いのですが、村の事が良く分からなくて。それに俺達は自炊が出来ないから、どんなお店があるのか見に来たんです」

「あはは。そうかい。屋台もあるけど、この店は食堂だよ。村の人も自炊してない人も多いから、朝から晩まで店はやっているよ」


「他にどんな店がありますか?」

「そうだね、鍛冶屋、木工屋。雑貨屋、薬屋くらいかね」

「寝具を売っている店はありませんか?」

「寝具かい、どうしたんだい?」

「実は生活用品も何も持たず来たもので、寝起きするところはあっても何もなくて」

「それは困ったね。雑貨屋でも売っているか分からないよ。ウォルド領に買いに行くにしても今からだと、夜には帰って来れないよ。それに寝具を運ぶ荷台はあるのかい?」

「いいで、ありません。俺達は冒険者をしていたので、そういう生活の事はよく分からないんです」

「そうなのかい。でもこの村には冒険者ギルドはないんだよ。どうやって暮らしていくんだい?」


 そうか、いくら領主だと言っても毎日、何もしないでいるのも変だ。

 逆に狩りなどをして稼ぎながら、領主のお金をもらえば生活の足しになるかも?

「魔物の素材や魔石の、買取をしているところはないのですか?」

「そうだね、物によるけど雑貨屋くらいかね。でもかなり安く叩かれるよ。なんせ人口が少ないから、賃金も安いからね」

 そうか。村の生産性が悪ければ物価は高く、賃金は安いてことか。


「母さん、どうしたの?」

 奥から20代後半くらいの、白銀色の髪を結い上げた女性が出てきた。

 と、いうことは既婚者か。

 この世界では髪を下ろしていいのは未婚の女性のみ。

 長いサラサラな髪で男性にアピールをする。

 逆に既婚者の女性は髪を下ろしていると、男を誘っていると思われる。

 そのため、長い髪を編み込んだり結い上げているそうだ。


 結婚してから嫁達が髪を編み込んだり、結い上げていたので聞いてみたらそう言われた。

 オルガさんだけは元々、髪は短いので結えませんけど。


「ニーナ、実はね。あぁ、この子はニーナ。私の娘よ。そして私はコーネリアよ」

 あぁ、後十数年後には、こんな感じになってしまうのですね、などとくだらないことを【メンタルスキル】で考えている。

 高速思考のレベルが上がったせいか、最近はくだらないことをたくさん考えていることが多くなった。


 コーネリアさんは、俺達のことをニーナさんに話してくれた。

 そしてニーナさんは近くに旦那さんと子供2人で住み、通いで店を手伝いに来ているそうだ。

「そうなの、人口が増えるのは歓迎よ。でも仕事がないのよね」

「魔獣を狩ってきてくれたら、肉なら買取れるわよ」

「どんな魔物なら食べれますか?」

「そうね、魔物なら大概は食べれるわよ」


 要は毒がなくて、不味くなければ良いのでしょうか?


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