第58話 混合農業
俺はアーマン村長と話しながら農業について、【スキル】世界の予備知識を発動させ調べた。
世界の予備知識は、調べたいことを思うと目の前に検索結果が現れ、パソコン画面を見ているように調べ物が出来る【スキル】だ。
家畜を飼っているから、丁度いい農業がある。
「私がやろうとするのは混合農業です」
「混合農業ですと?」
「はい、土地を4つに分け家畜の飼育を組合わせます」
俺はアーマン村長に混合農業について話した。
混合農業とは作物と家畜の飼育の両方を行う農業だ。
色々な作物を混合して生産するので、混合農業というわけだ。
夏に大麦を栽培し秋に収穫する農地。
クローバーなどの牧草を栽培し、牛・豚など家畜用地。
冬に小麦を栽培し春に収穫する農地。
カブなどの根菜類を栽培する農地の4つに分ける。
その分けた4つの畑で1年ごとに、冬に小麦栽培⇒根菜類栽培⇒夏に大麦栽培⇒牧草栽培とローテーションしていく。
農地1 農地2 農地3 農地4
1年目 冬は小麦 根菜類 夏は大麦 牧草
農地1 農地2 農地3 農地4
2年目 牧草 冬は小麦 根菜類 夏は大麦
農地1 農地2 農地3 農地4
3年目 夏は大麦 牧草 冬は小麦 根菜類
農地1 農地2 農地3 農地4
4年目 根菜類 夏は大麦 牧草 冬は小麦
この4つを交代で繰り返していく。
1つの土地を見ると今年は夏に大麦を栽培、来年は根菜類を栽培、その翌年は冬に小麦を栽培、さらに翌年にはクローバーなどマメ科の植物を牧草として栽培する。
でも農地を休ませないと、土地が持っている作物を育てる能力が回復しない。
麦は麦、カブはカブが育つのに必要なそれぞれ特定の栄養素がある。
だから同じ土地でずっと同じ作物を育てていると、特定の栄養素だけどんどん吸収され土壌から消えてしまう。
するとその作物は育ちが悪くなり、収穫量が減ってしまう。
牧草、根菜など異なる作物を育てることで、作物を育てる力の低下を防止することがでるのだ。
根菜類は土壌を深く耕す役割があり土壌を改善してくれる。
クローバーなどマメ科の牧草は、空気中の窒素を栄養分として土壌に取り込んでくれる性質がある。
更に牧草の農地に家畜を放牧し、家畜が落とす糞尿が土地を回復させてくれる。
土地を休ませなくなることで、生産するものが増えることを話した。
そして土壌中にある部分を食用できる、
ゴボウ、ニンジン、ダイコン、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、タマネギなどだ。
これだけで、食べていけそうだ。
「この農法を行えば今までに比べ、根菜類が1年中収穫できるので収穫量は今までの1.5倍にはなると思いますよ」
「1.5倍ですと!」
「それに農地を1/4にするので、一回の農作業も今までより少なくなり楽になります」
「そうなりますな」
「ただ1年を通して農作業をしていることになります。その反面、凶作の時にも
1つの穀物に頼っていないので、乗り越えやすいと思いますが」
「おぉ、それは凄いですな。セルベルト卿は、いったどこでそのような知識を」
「エリアスで良いですよ、それは…「ふわ~!」
見るとパメラさんが飽きたらしく欠伸をしていた。
「こらパメラ。駄目じゃないの」
「だってオルガ。つまらないんだもの」
「おぉ、これは失礼致しました。奥様方には退屈な話でしたな」
「奥様だってオルガ、照れるわね」
「そうね、私達もそう呼ばれることに慣れないとね」
「失礼しました、アーマン村長。実は俺達、冒険者の時はパーティーを組んでいて、男爵になったのを機会に結婚したんです」
「そうでしたか、それで取り分の話を。ご結婚されたばかりなら、もっともですな」
「そうなんですよ」
「畑仕事をまとめているものが何人かおりますので、今夜にでも話してみましょう」
「えぇ、お願いします」
「それから村人達の紹介は明日の朝、みんなが仕事に出る前に行いたいと思いますので、御手数ですが我が家までお越し頂けませんか」
「分かりました、伺います」
「ここまでこられてお疲れでしょう。これから住まれる家にご案内いたします」
そう言われ俺達はアーマン村長と家を出た。
しばらく歩くと、木造の2階建ての家に着いた。
「以前、この村の領主をしていた男爵様が住んでいた家です。家具も置いてあるようですので、そのままご利用できますから」
「うわ~大きい家」
「広そうね」
「これからここが我が家なのね」
嫁3人がそれぞれに言う。
俺は村長から家の鍵を渡された。
「では私はこれで失礼いたします。最低限の必要なものは雑貨屋に売っていますから。それからエリアス様はメイドはお雇いにならないのでしょうか?」
「メイドさんですか。今はお給与を払える余裕がありません」
「実は以前、このお屋敷で働いていたものが何人かおりまして。屋敷のお仕事を辞めても畑仕事が今さら出来るわけもなく。今度の領主様が良い人そうなら、雇ってもらえるように口を訊いてほしいと言われておりましてな」
「申し訳ありませんが、今のところは」
「そうですか、分かりました。その者達へはうまく言っておきましょう。ではお食事はどうされるのですか?」
俺達は顔をお互いに見合わせた。
自炊などみんな、したことが無いからだ。
「食堂はありますか?」
「食堂ですか、ええございます。商店は村の入り口のところに纏まっておりますから、行ってみてはどうでしょうか」
「分かりました。後で生活用品を含めて見に行ってみます。後、私は毎日、何をすればいいのでしょうか?」
「エリアス様は男爵様なので、特にすることはございません。なにかあれば私が村人から話を聞き、エリアス様にご相談致します。逆にエリアス様も何かあれば、私に言って頂ければ村人に伝えますから」
やはり実質、村長がこの村を仕切り俺達は飾りなのか。
「分かりました。では何かあれば伺いますから」
男爵の俺の方から村長の家に行くのは変だが、使用人が居ないから呼びに行けないしね。
そして村長は帰っていった。
まずは屋敷の中を見てみようかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
面白いと思って頂けたら★マーク、♥マークを押して応援頂くと励みになり嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます