第46話 旅立ちと女神ゼクシー
そして旅立ちの朝が来た。
俺達4人は宿屋のビルさん家族に、挨拶し別れを惜しんだ。
特に俺はこの世界に転移してから、この宿屋だったから寂しい気持ちがある。
そうだ。
街を出る前に女神様にお祈りをしていこう。
「みんな、街を出る前に旅の安全を願って、女神様に祈って行かないか」
「そうね、それはいいわね」
3人が賛同してくれたので大聖堂に向かった。
大聖堂の中に入ると、参拝している人の姿は少なかった。
朝一だからか。
女神像に
転移した時のように白い靄のようなものに包まれた場所にいた。
シク、シク、シク、シク。
シク、シク、シク、シク、シク、36
見ると女神ゼクシーがうずくまり、両手で顔を押さえ泣いていた。
『どうしたんですか、母さん?』
『これが泣かずにいられないと思うの?まさかこんなに早く息子を、他の女に取られるなんて思わなかったわ』
『いったい、なにを言っているんですか?』
『私の可愛いエリアスを他の女に取られるなんて。いっそこんな国、滅ぼしてやろうかしら』
『それは困りますよ、母さん』
『だって、だって母さんは…ヒック、ヒック』
だ、駄目だ、これは。どうしたんだ急に?
ゼクシーは女神になってから、寂しい一人暮らしが続いた。
仕事が終わり真っ暗な部屋に明かりを点け、『ただいま』と誰もいない部屋に呟くこと数万年。
そんなある日、息子が出来たのだ。
これを可愛いがらずにいられようか。
毎日、天界から下界を眺めエリアスのする事を見ている。
普段はどのように過ごしているのか、いつもどんな人と仲良くしているのか、今おかれている状況を細かく把握したくなった。
私の許可なく勝手なことをしてと思うけど、嫌われたくいない。
いつのまにか自分が結婚するような気持ちになり、周りのことを考えたりするようになっていた。
このまま結婚させていいのかと。
だからこうしてやってきたのだ。
『エリアス、いいの?このまま結婚しても。私が代わりにいくらでも良い人を探してあげるわ。数千年の若い女神を紹介するから』
『どうしたんですか、母さん急に?』
『だって、だって私に断りもなく、突然結婚するなんて聞いたから』
そうだ。母さんと言っても儀礼的なことだからと、後回しにしていたんだっけ。
『大丈夫ですよ、母さん。俺はいつまでもあなたの息子ですから』
『そ、そんなこと言っても』
『それに子供が出来れば、あなたの孫にもなるんですよ』
『ま、孫。そうね、孫になるのね』
いったいどうしたんだ?
なにが彼女をここまでにしたんだ。
まずい、これでは子離れできない母親だ。
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『母さんも毎日忙しくて大変だろうから、たまには友達を誘って旅行とかしたら?』
『りょ、旅行ね。それも良いかもね』
『環境が変わると気持ちも変わるからね。母さんは新しいことは好き?』
『ええ、まあ案外好きな方ね』
『それなら資格取得や習い事が良いよ。通信教育でたくさん選べるからね』
『資格をね…。家に居ながら学べるしね』
『これからの季節、日差しを浴びながらテニスでもして体を動かすのも良いかも』
『健康的に外に出て、ストレス発散するのもありね』
そんな事を1時間くらい話したろうか。
母さんも落ち着き、旅立つことを伝えた。
これからは
念のため旅の間、何が起きるか分からないから野菜や肉、塩、砂糖、ハイポーションとマジックポーションを買っておいた。
そして俺達はアレンの街を出た。
新しい旅立ちだ。
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