第27話 Blue flame

 俺達は突き進む。

 冒険者8人で3列になり、24人誰も欠けることもなく。

 まるで風のように、そして力強く。

 レッドキャップを倒すために。


 タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!

      ブシュ、ドバッ!!グサッ!ドバッ!!グサッ!ブシュ!


 向かってくるゴブリンを、俺達は風のように断ち切りながら走る。


 タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!

            ブシュ、ドバッ!!グサッ!ドバッ!!グサッ!ブシュ!


 見えてきた!

 先頭の騎士団はレッドキャップ相手に壊滅状態だ。

 だが後続はそんなことは知らずに進んでくる。


 そしてレッドキャップは斧を下げ、はすに構えてニヤリと笑う。

 格好かっこう餌食えものがきたと。


「みなさんはゴブリンの牽制をお願いします」

「おう、気を付けろよ」

 コンラードさんが答える。

「はい、行ってきます!」


 俺は走りながら右手にバスタード・ソード、そして左腕に『収納防御』をまとった。

 レッドキャップは一歩踏み込んだと思うと、すぐ目の前にいた。

 ガッ!!

 とっさに『収納防御』を纏った左腕を出し、攻撃の衝撃をしながら右手の剣を水平に振るう。

 シュッ!!

 かわされる。

 なんて速い動きなんだ。


 ギィ!

 レッドキャップは首をかしげる。

 防がれたことが腑に落ちないのだろう。


 【メンタルスキル】で落ち着き、で策を練る。


 俺に出来ることは奴の攻撃を受けた時に、一瞬動きが止まる。

 その隙を狙って剣を振るうのみだ。


 奴の攻撃を『収納防御』で受けるたびにMPが減っていく。


 ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!


 MP130⇒125⇒120⇒115⇒110⇒105⇒100⇒95


 奴はイラついたように連続攻撃をしかけてくる。

 そして俺も左手に魔力を貯める。


 そして待っていた瞬間が来た。

 スカッ!

「ウギィ!?」

 レッドキャップの斧を俺は左腕で受け止めた。

 その瞬間、斧の先をストレージで収納し口を閉じたのだ。

 そのため、斧を抜くことが出来ない。

 

 レッドキャップは掴んだ右手で斧を引き抜こうとし、手を放していない。

 俺は右手のバスターソードをすかさず、突き刺す。


「ギッ!」


 奴は左手でバスターソードの刃を受け止めた。

 これで両手が塞がったな。

 

 斧を受け止めている左腕を、そのまま奴の顔の前にずらした。

 そして左手に貯めていた魔力を一気に放出する!!


Blue flameブルー フレイム!!(青い炎)」


 ゴウォ………………………!!!


 温度約10,000℃の青い炎が、近距離からレッドキャップの顔を包む。

 ガスバーナーで炙られているのと同じだ。


 グギャァ~~~~~~~!!


 バグベアを倒した際に、剣に纏わせた青い炎の応用だ。

 生活魔法の火と風を使い、近距離なら魔力放出は可能だと思ったのだ。


 MP95⇒85⇒75⇒65⇒55


 レッドキャップの赤い帽子は焼け、奴は両手を離し後ろに下がった。

 その隙に奴の斧は完全に収納しておいた。


 グギギギギ...........................


 お顔は焼けただれ、両目は白く焼けている。

 奴はもう目が見ない、これで戦いやすくなったはずだ。

 

「みなさん、キングは目が見えません。焦らず確実に倒しましょう」


 ゴブリンの動きが突然悪くなり、統制が取れないのかオロオロしている。

 中には森に帰って行く個体までいる。


「おい、見ろ!ゴブリン達が森に帰って行くぞ」

「キングの呪縛が解けたんだ」


 ゴブリンの過半数は逃げ始めている。

 これで俺達、冒険者は役目は終わったはずだ。

 早くこの場を離れよう。


「騎士団の諸君。キングを倒せばこの苦しい戦いも終わりだ」

 見るとナウム副長が決着がついたと思ったのか、馬に乗り戦場まで出てきていた。

「名を上げるチャンスだ。キング(レッドキャップ)を倒せ!」


「「「 お~~~~!! 」」」


 騎士団がレッドキャップ目掛けて群がる。

 まるで勝ったかのように。

 


 そしてそれは起こった。


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