第26話 レッドキャップ

 騎士団がゴブリンウィザードを蹴散らした。

 しかし中央突破寸前で立ちふさがるものがいた。


「なんだ、あの赤い帽子のゴブリンは。怯むな、たかがゴブリンだ!」

「いけ~!」


 ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド!!

    「「「 うわ~!やめろ~!! 」」」

    ブシュ、ドバッ!!グサッ!ドバッ!!グサッ!ブシュ!

         「「「 よせ~~~!ぎゃ~~!! 」」」


 赤い帽子のゴブリンの手にした斧で、騎士が馬ごと断ち切られていく。



 俺は嫌な予感がして、鑑定を使った。


【スキル・鑑定】簡略化発動!

 名前:レッドキャップ

 種族:魔物

 年齢:230歳

 性別:オス

 レベル:43


【特徴】

 ゴブリンの上位種。

 恐るべき速さで接近し、斧を振りかざし襲ってくる。

 人を惨殺した後、その血で帽子を染め上げることを至上の喜びとする。



「逃げてください。みなさんでは勝てません!」

 俺は力の限り叫ぶが、俺の声は喧騒にかき消され届かない。

「くそう、どうすれば良いんだ」


 そうしている間にも、騎士団はレッドキャップにやられている。

 そして周りのゴブリン達にも押しやられ、統制も取れなくなりつつある。


 突破して道を切り開いても一度、歩みが止まれば道は元に戻る。

 俺達もゴブリンに囲まれてしまった。


「冒険者は背中合わせで円陣を組み、身を守りながら戦うんだ!」

 コンラードさんが叫ぶ。


 このままでは、じり貧だ。

 後方を突破し街に帰っても、ゴブリン達を倒さないと街は壊滅する。

 ならば答えは1つ。

 レッドキャップを倒すことだ。

 でもどうやって。


【メンタルスキル】高速思考!

 よし、やるならこれしかない。


 剣を振りながら俺は言う。

「コンラードさん。このままでは壊滅です。お願いがあります」

「なんだ。エリアス」

 コンラードさんも剣を振りながら答える。

「キング(レッドキャップ)を倒す方法があります」

「なに!どうやって」

「俺をキングのところまで連れて行ってください」

「また、進むと言うのか。倒す方法があるんだな」

「はい。進むも戻るも地獄なら、進んで活路を開きましょう」

「進んで活路を、か。分かった。みんなもう一度、突破し活路は俺達で開こう!!」


 そして俺も励ますように声を出す!

〈〈〈〈〈 みんなでキングを倒して、街に帰りましょう!! 〉〉〉〉〉

「「「 お、おう~~!! 」」」


 俺達は突き進む。

 冒険者8人で3列になり、24人誰も欠けることもなく。

 まるで風のように、そして力強く。


 高速思考で考える。

 冒険者のみんなはゴブリンを倒して、わずかでもレベルが上がったようだ。

 試しにAランクのコンラードさんを鑑定してみるか。


 【スキル・鑑定】簡略化発動

 名前:コンラード

 種族:人族

 年齢:25歳

 性別:男

 職業:剣士

 レベル:32(+5


 以前と同じレベルだ。

 やはりゴブリン程度では、何匹倒してもたいした経験値にはならないのか。

 レベル:32(+5

 この+5はなんだ?

 補正が掛かってるのか?


 他の冒険者を鑑定してみた。

 個人差があるがみんな、+3~+5レベルが補正されていた。

 そして俺だけ、補正がされていない。


「ステータスオープン!」

 名前:エリアス・ドラード・セルベルト

 種族:人族

 年齢:17歳(58歳)

 性別:男

 職業:防御魔法士

 レベル:7


【スキル】

 生活魔法

 火:LV1

 水:…

 氷:…

 風:LV1

 光:…

 世界の予備知識:LV1


【ユニークスキル】

 異世界言語

 鑑定:LV2

 発展スキル:鑑定サーチ:LV1

 時空間魔法ストレージ(カスタマイズ可能):LV1

 発展スキル:収納防御:LV1

 発展スキル:confineコンファイン(閉じ込める):LV1


【メンタルスキル】

 沈着冷静:LV2

 高速思考:LV2

 魅力(人の心を引きつけ夢中にさせる力。発動しないこともある):LV2

 発展スキル::LV1


【加護】

 女神ゼクシーの加護

 愛し子


 俺自身はステータス補助が掛かっていないわけだ。

 かけてるのは俺自身だからだ。

 だがどうやって発動しているんだ?


 考えるのは後にしよう。

 理由は分からないが、レベルに補正が掛かっている間が勝負だ!


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