第57話 異形VSセクシーバッタ①
食い物で釣って、ローズちゃんの姉フランソワに一撃だけ食らわせた。
しかし、彼女の実力は間違いなく本物。
ローズちゃんが育ったアマゾネスの里には、こんなのがゴロゴロしてるのか・・。
「ねえ、ローズちゃん、お姉さん放っておいていいの?」
「額の刺し傷はアヤメが治してやったから、そのうち起きるだろう。それに蜂蜜を手に入れて幸せそな寝顔だ」
「あれでいいんなら・・」
◆
2時間後、早くもアマゾネスの里に混乱が起きている。
ローズの姉フランソワに続き、母ガルボ、もう一人の姉ソフィーナに「大切な人」と紹介された。
だが、緩んだ表情で過ごせたのもここまで。
ローズの母ガルボから始まり、誰も彼もが戦いを挑んでくる。
アマゾネスの里には600人の女性がいるそうだか、ほとんどが私との対戦を希望しているように見える。
「ローズちゃん、私は自分のスキルを理解するために、この里にある昆虫融合術や獣化を学びに来たの。なのに、なんで大規模な道場破りみたくなってんだろ」
「う~む。アヤメの膨大な魔力を浴びて、戦闘民族の血が騒いだな」
「交通整理してよ」
という訳で、昆虫繋がりでトノサマバッタの降臨術を使う21歳のナズナさんと戦うことになった。
もちろん水着だ。
私も変身が前提なので、裸に布を巻いているだけ。
「私を選んでくれてありがとう、アヤメ殿」
「こちらこそお願いします」
「よし、昆虫降臨で健闘すれば、フランソワのように極上蜂蜜をもらえるのだな!」
「・・フランソワ姉さん、みんなに何を言ったんだよ」
かくして戦いは始まった。
「まず、白兵戦でいいか?」
「いえナズナさん、最初から異形変身で。私の通常戦闘は子供レベルなんでやるだけ無駄です」
「うむ。トノサマ降臨」
左腕を回し、腕を交差させてビシッと決めた。
「へん、しん」
ナズナさんの腕や太ももに固そうな膜が張り、顔には赤い目が付いた仮面、額には触覚、そして唇は見えるがアゴと口周りはギザギザのガードに守られた。
背中の透き通った羽が見え隠れし、マフラーのようだ。
胸からデリケートゾーンギリギリまで、白い節が付いたレオタードのごときアーマーになり、ボディーラインを浮き立たせていた。
異形の中に美麗さがある。
「すげ、うらやましい・・」
「頑張れアヤメ。私はお前の変身の方が好きだぞ」
「えへへ。ローズちゃんてば。じゃあ行くよ、ヘラクレスガード」
全身が黒光りした私は、巻いていた布を取って構えた。
ローズに習った左足を前に出し、左手で胸を守る迎撃スタイルだ。
どんっ。「うげっ」
が、当たり前のようにナズナさんにライ●ーキックではなく「バッターキック」を食らい、吹き飛んでいた。
異形バトルの始まりだ。
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