第28話 異形大変身
ウルフスイングという冒険者6人組に狙われている私。
ギルドの人達には止められたが、塩を買いに行くと言ってギルドを出た。
塩を買って、最低でも3人の尾行者がいるのを確認した。大通りを離れると、廃墟街に入った。
いい袋小路を見つけた。幅10メートルの奥行き30メートル。建物の高さは10メートルほどで、壁は頑丈そうな石造り。
両手から「蜘蛛の糸」を出して「舞台」の準備をした。
ちょうど仕込みが終わり、袋小路の一番奥に入ったとき、奴らは現れた。
「よおアズサちゃん。1人で歩いてるとは、いい度胸だな」
「アヤメよ。名前も覚えられない馬鹿みたいね」
「魔力が切れた魔法使いが意気がってんなよ」
「助けが来るかもよ」
「この廃墟街の出入り口は2ヵ所しかねえ。どっちも俺らの仲間が押さえてるぜ」
奴らとの距離は5メートル。
「ご苦労様、最高の舞台が整ったみたいね。トノサマホップ」
後ろの壁の方に跳んで、壁に足をついた。トノサマホップの2回追加で、横の壁に飛び、さらに袋小路の出口近くまで跳んだ。
跳びながら蜘蛛への異形変身をして、上に向かって「スパイダーネット」を飛ばしまくった。
「ヘラクレスガード、身体強化発動」
袋小路の中で、奴らより外側に立った。
「女が逃げるぞ」
「なんだ、あの跳躍は!」
「え?」
「いつの間に黒く・・それに、あの尻尾みたいのはなんだ」
私は黒く、下半身が蜘蛛に変身している。
「スパイダーネット、出口の方に出まくって。100発」
バシュ、ベチッ、バシュ、ベチッ。
仕込みとは、奴らを誘い込む入り口だけ空けて、細い蜘蛛の糸を張り巡らせたこと。
今、その糸と壁に広さ5メートルのクモの巣を撃ちまくった。
男達が入ってきた通路も3メートルの高さに横張りにした糸と地面を繋いだ大きなクモの巣で塞がれた。
蜘蛛の巣は幾重にも重なっている。隙間はたくさんあるが、大人が通れるような穴はない。手を上に向けて、建物の上の方を繋いだ糸に「スパイダーネット」を当てて、袋小路の上の方にも蜘蛛の巣を張った。
「あなた方を殺したいって思ったとき、もう私は誰とも深く関わってはいけない、残虐な人間になったと思った」
べきっ、べきっ。クワガタの「ビッグアゴー」発動
「ひっ、なに言ってるんだ」
「オスカー様に保護してもらっても、いつか異形変身のことを知られたら迷惑がかかる」
ぐりゅ。全方位を見渡せるカメレオンの「ギョロ目」
「どんどん強くなれるけど、私は人間からかけ離れていく」
りーん。怪音波も出せるコオロギの「夜曲」。
「くそ、姿だけかも知れん。強いとは限らんぞ」
ぴゅる。「口からスライム酸」
「アルケニーよりおぞましい。魔物だったのか、てめえ。この化け物があ!」
手に入れた力を十全に発揮できるのは異形変身をしたとき。
そのとき、人を攻撃しようが、助けようが、相手に恐怖を与える。
だから、ヤリステ達に復讐する力を手に入れた代償は・・きっと・・
死ぬまで続く孤独だ。
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