第27話 悪人の追加
デスマッチ最後の4戦目。
4番手君が何かを持っている。小さなガラス瓶か。
酸か毒のようなものが入っているのか。ニヤニヤしている。
「3戦目は1回も魔法を使ってなかったな。前半2戦で飛ばし過ぎて魔力切れだろ」
少しずつ近付いて来る。
「馬鹿とは思わないけど、こっちは超反則なんだよね」
MP3000でも王宮が動くレベルらしいが、私は28万越え。
非常識でごめん。
それに思うとこがある。4番手君に何かを渡した奴らが、私の使用MPを計算している節がある。
クズの兄貴分達だけど、強そう。
見たところ6人とも手練れだ。
延長戦があるかも。
「ならばこの手だね」
毒を貰っても「トカゲの再生」で治せる。
だけど、罠を張る。
「ポイズンニードル30連発」
「ふへ?」
4番手君、変な声を出したけど瓶の中身を私にかければ勝ちと思ったのか、油断しすぎ。
キンキン、ザクザク、キンキン、ザク、バキン。
「うぎゃあああ!」
ニードルは足に3、4本しか刺さってないけど、持っていた瓶が割れて紫の煙が出ている。飛沫も顔にかかった。
本気スライム酸ほどではないが、強い酸に見える。
近付く必要もない。
「ぐえっ、ぐえっ」
「馬鹿ね・・」
「馬鹿な野郎だ。どっちにしろアヤメの魔法で死んでただろうが、酸と毒で自爆しやがったな」
使ったMPは1000から1500の間くらいか?
MP残量の把握は魔法使いの必須事項と言われるそうだが、私は適当だ。
だって恐らく、これだけ魔法を乱射しても、全体の1パーセントも使っていない。
だけど魔力切れを装う。
「アヤメだったな。お前の勝ちだ」
言われて、私は魔力切れで座り込んだふりをした。
「さすがにMP残量が厳しいわ」
「肩を貸すよ。使用MPは優に1000越えたろ。20歳前後では、普通はありえないよ」
「ありがとう副ギルマス。お言葉に甘えるわ」
さっきの6人組が降りてきた。
予想通りだ。
「よくも弟分達をやってくれたな」
「だから?」
「お前にデスマッチを挑む」
やっぱり来た。MP切れを狙ってた。
「今なの?」
「おう」
一人ずつ時間をかけて、無惨に殺してやる。
全員後悔させてやる。
麻痺毒で動けなくして、生きたまんま解体してやる。
この辺りに住めなくなるけど、置き土産に泣き叫ばせてやる・・・・
だけど、殺るのはここじゃない。
「今ね・・。魔力切れで、ちょっと厳しいわ」
「受けねえのかよ」
「受けないとは言わない。明日ならいいわ」
「へっ、逃げるのかよ」
「今、受けてもいいけど条件がある。6人で土下座して、私の足を舐めなさい」
「なっ」
「そして、万全のアヤメ様に殺されるのは怖いから、卑怯なクズの僕ちゃん達は魔力切れの女としか戦いたくないんでちゅ~、てギャラリーに向けて叫びなさい」
「てめえ!」
「ストップだ。ウルフスイング。そもそも俺は立ち会わないぞ。こんな形の連戦は認めん」
くすくすくす。
観客席に残ってた奴らが笑ってるし、警備を兼ねたギルド職員10人が遠慮なく剣を抜いている。
「くっ」
「ウルフナントカさん」
「なんだ!」
「明日は全員をバラバラにしてあげる」
「ちっ。テメェ逃がさねえぞ」
奴らは出ていった。
捕食者は、私と知らずに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます