第22話 S級空間スキル

地上に戻って、新スキル「カプセルホテル」を唱えた。


落ち葉がある林の中だけど、そこに何もなかったかのように四角い穴が空いた。


ピピ・・料金は前払いです・・


「ん?ああ寝るから、宿屋なのかな」


支払いってどうやんだろ。


ピピ・・1泊5000MPになります・・ピピ


「上位魔道師の全MPと同じくらいで高いよな。けど私はMP28万のお化けだから余裕」


穴に座るとMPが吸われる感覚があり、さっき汚したはずのフカフカ布団もきれいになった密閉空間ができた。


ピピ残り24時間ですピピ


なるぼど。


「いやあ快適。眠っても大丈夫だよね」


縦長スペースの足の方の空き場所に服を脱ぎ捨て裸になった。

初めての高級布団と枕の肌触りを楽しんでる間に寝てしまった。


目が覚めた。気付くとカプセルホテルの近くに野犬が見えた。白黒だけど、どうやって映してるのか。


何時間たったのだろうか。


ピピ残り16時間ですピピ


「犬に見つかって掘り起こされるのかな・・」


野犬は何も気付かず歩き去った。カプセルホテルの真上を歩いたはずだが、振動さえ感じなかった。


隠蔽、というか空間魔法ではないだろうか。


「これはすごい。ダンジョンの中でも使えたし、緊急回避にも使える」


今度こそラヒドと思って小高い丘に登った。アマゾネスのローズから逃げたりしているうちに、思ったより東に来たようだ。


前の街には私を追ってきたアマゾンヌが、再び寄っている可能性がある。だから西はなし。南は脱出したセチバの森。

東も目的地のラヒドから離れてしまうから、北回りで迂回して旅をすることにした。


北には海がある。


「アマゾンヌから逃げるとき痛感したし、やっぱり探知系のスキルが欲しい」


探知持ちの冒険者のスキルに反応することから、コウモリがソナー持ちというのは知られているが、他の生き物では分からない。


魔石を片っ端から食って、何かがヒットしてくれたらいいが、漠然としてる。


『神ノ技能 魔方陣転写』は、人には言えないが未知のスキルを探るのにも有効だ。


「平和に暮らせるようになったら、治療院か食堂をやってもいいな」


北と思われる方向に向かうと、一つ山を登った。山頂近くに沢があって川に続いているようだった。辿れば海だ。


途中で池もあって、面白い生き物を見つけた。


「なんだありゃ。25センチのオタマジャクシ?」


あのサイズのオタマジャクシがカエルになれば、80センチクラスかも。


「カエル系から使えるスキルをもらってるし、新たなガマ袋でもうれしい。周りに成体らしきオオガエルはいないけど、8センチくらいのカエルがたくさんいるな」


25センチのオタマジャクシ、8センチのカエルを食べたら、驚きの現象が起こった。


「え?でかいオタマジャクシと小さなカエルの魔石から同じ魔方陣?」


圧縮、逆行、意外性の魔方陣が浮かんで、「アベコベ縮小化」のスキルが手に入った。


「へえ、こいつはアベコベガエルっていうんだ。大人のカエルになると小さくなる、世にも珍しいカエルね」


これはいい、誰かに追われているときに子供に化けて難を逃れるとか、使い道がある。



「アベコベ縮小化!  ん? んん?」


私は膝から崩れ落ちた。


そうだ「縮小化」だ。


子供になると勝手に解釈してたけど、160センチで胸と尻がでかい私が、そのまんまのバランスで身長80センチになっただけだ。


「また、使いづらいスキルだよ!」



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