第21話 聞いたこともないスキル

偶然に入ったダンジョンは、低レベルで全階層も10階。思い切ってボスに挑戦してみる。


異形全開で戦うために裸になったら、いたずら心がわいた。身体強化だけかけてスケベ豚が待つ、ボス部屋に突入した。


ゴゴゴゴゴ。


扉の向こうには、ハイオークとオークソルジャー2体。部屋は40メートルの四角。


「1階から感じてた美味しそうな匂いが濃厚に漂ってきた。きっとボスのやつだ。取り出して食べてやる」


「ぶもーー」

「ぶもーー」

「ぶもももも~~」


挑戦者の私は、若い女のソロで裸。やる気を見せるオークたち。


「嬉しそうに走ってきたね。ヘラクレスガード、手もお尻もポイズンニードルの「異形剣」スタイル」


私は余裕が出て、接近戦ポイものをする。


まず、オークソルジャー1を突き刺そうとすると、真後ろにスエーバックした。だからニードルを飛ばして腹にドパン。


2体目は近寄ってこなくなったから、3つの射出口から計30発のニードルを撃って仕留めた。


ボスは斧使い。大振りしてきたが、私は勢いよく後ろを向いて、1・5メートルあるスズメバチのお尻を振り回した。


ドスッ。ぶちぶちぶち。


「ぶぎゅううう・・」


私の尻はハイオークの斧を弾いて、腹に針を突き立てた。そして、その勢いのままに肉を引き裂いていた。


「げ、私の何倍も強い。いや、やったのは、私のお尻が変化したもの。だから、これも私の実力?」


ぶつぶつ言いながら、豚どもに止めを刺した。


「たまんない匂い。ボスの魔石を取り出そおっと。ん?」


ボスに近付いたが、匂いの元は違う場所のようだ。


「あれ?部屋の奥でもない。なんにもない右側の壁の向こうから匂いがする。はあっ、はあっ、我慢できん」


壁の向こうに空間があるのか確認もせず、ヘラクレスガード、熊力、身体強化を同時発動。


「いっけえ、猪突猛進!」


ドンッ、ボコッ。


壁を壊したら1・8メートル四方くらいの小部屋があり、10センチの台座に15センチの水晶のような赤い玉が置いてあった。


「今までで一番うまそう。いただきます」


ぷちっ。


石にかぶりつくと旨味が脳内でスパークした。


「あ、ああ、はああああ」


穴掘り、照明、空調、隠匿、布団など、170個の魔方陣が頭の中に入ってきて、一つになった。


「え? カプセルホテルってなに・・」


ぼこん。壊れないはずのダンジョンの床が沈んだ。

縦3メートル、深さ1メートル、幅1・5メートルの縦長で四角いスペースができた。


「私の新スキルなんだよな。入ってみようか。埋まることはないよね」


横たわった。


ピピお試しですピピピピピ。ういい~ん、カチャ、パッ。


「え?土の中に寝転んだはずなのに、ふかふか布団。上もみんな密閉されたけど息苦しくもなく、周囲の景色が見えている。周りも変な材質に変わった」


左手の位置にぼんやり光るものがあったから、触ったら明かりがついた。


「こりゃすごい。どこでも眠れる寝床だよ。とりあえず脱出しよ。スキル解除」


玉を食べた場所に座っていた。


パラ、パラッ。パラパラ。


「え?ダンジョンの天井が崩壊してる。もしかして、私が食べたのはダンジョンコア?」


だからスキルが「空間」なのか? コアを破壊されたダンジョンは1か月くらいで完全崩壊するという。


ボスを「ガマ袋」に収納し、転移装置に乗ってダンジョン1階から逃げた。






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