第20話 未成熟ダンジョン

ドタバタで忘れていたが、ハイオーガの魔石を食べた。


「おおっ、「身体強化レベル3」。最初からパワー3倍だよ。さすがハイオーガ。早速発動」


後ろからアマゾネスの女が追ってくる姿が見えたから、身体強化を使って一気に走った。目標はバンカから出て西だが、変な女を撒くために東に走り去った。


猛スピードで5キロほど東に移動した。


「ふう、トカゲ再生。これ、疲労も取れるからいいね。げっ、まだ追ってくる」


しゃあないからさらに走り、街道を逸れ、洞窟の入り口があったから入った。


「ゴブリンの巣かな。アマゾネスをやり過ごせればいいや。ゴブリンの群れが出ても、MP28万を生かしてスキル乱射で何とかなるよね」



パッ。うっすらと明かりが灯った。幅5メートルの裏路地のような通路が200メートルくらい先で分岐している。


これはダンジョンだ。


「私には縁がなかったけど、ダンジョンにも色んな魔物がいるよな。私でも潜れそうなら、進んでみるか」


10階ごとに転移装置があり、そこまで行けば、帰るかフロアボスと戦うか選択できるという。


「それに、奥の方から美味しそうな匂いが・・。魔石や甘味とも違う、初めての感じだ」


ダンジョン経営をするのは、神なのか人か魔族かと、諸説あるが解明されてない。


ただダンジョンに来た人間の数と強さにより、「ダンジョンポイント」が管理者に入り、ダンジョンが強化されていくというのが有力説だ。


「高レベル冒険者を呼び込む猛者ダンジョンもあれば、低レベルダンジョンでも冒険者がわんさか来る人気ダンジョンもあるって言うもんね」


ここは、どちらでもなさそうだ。生まれたばかりで未発見か?


「とは言っても、最近までノースキルだったから、ここが、どんなクラスのダンジョンなのかわからない」


ヘラクレスガードで身を固めて歩くこと10分。



ゴブリンが出た。素手で二体。

スライム酸で溶かした。


魔石をゲットして食べたが・・。

「「欲情」かよ・・」


2階では、ゴブリン4体で武器はナイフ、弓、槍、斧。


「手からスパイダーネットお尻が異形変身。ポイズンニードル」


ダンジョンを進むにつれ敵が強くなっていったが、物量作戦のオーバーキルを続けて、5階まで進んだ。


「ここより下層から美味しそうな匂いがするな。けど、こんなに楽勝とは思わなかった」


これは育ち切ってない未発見ダンジョンかもしれない。


そうすると全階層は10階。冒険者ギルドに報告すれば報酬ももらえる。


親切に各階にセーフティーゾーンがあったし、迷路が広がっていく。無理せず、4日間をかけて下層まで潜った。


食料はパンしかないけど、スキル「極上蜂蜜」をパンに塗れば、満足できた。


最悪、スライム消化でゴブリンを食べればいい。


6階からはオークが出たけど1体。7階、8階で2体、3体と増えた。9階はオーク2体とオークソルジャーの構成。


まだ何の反撃もさせず進んでいる。


ノーマルオークの魔石から「絶倫」でがっかりしたが、オークソルジャーは当たりだ。


「ソルジャーの魔石は甘いな」


食うと、華麗、翻弄の魔方陣が浮かび「体さばき」を手に入れた。パッシブで掛けておく。


10階に降りると1階への転移装置があったが、先に続く階段はない。


「うまそうな匂いはこの奥なんだよな」


初ダンジョンでソロ。死ぬことはないだろうと思いつつ、ボス部屋の扉に触れた。



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