第19話 アマゾネスのローズ

変装して架空民族「アマゾネス」を名乗り、バンカの街のギルドでMP量を調べた。


なんとその量28万。大魔道師でも5000とか聞いてるのに・・。


ギルドを出ようとすると、知らない女に退路を塞がれた。


皮の水着に170センチのムキムキ。顔はエルフ族みたいな美人なのに金髪で髪がボサボサ。


「ごめん、ちょっと急いでるの」

「ダメだ。お前は何者だ」

「だからアマゾネスのアヤメよ」

「嘘を言うな!我がアマゾネスの里にお前のような奴はいなかった」

「え?本当にあったの?」


レベル測定をするために適当に作ったアマゾネスが実在したとは・・。


「ごめん、嘘を言った。本当はクロビカリアサシン」


「クロビカリが何かしらんが、お前から溢れだす魔力はなんだ。ドラゴンでも攻めてきたかと思ったぞ」


「普通の女だけど・・」


「貴様、この私、ローズと勝負だ」


ダメだ、この女は人の話を聞かないタイプだ。ここで応じてはいけない。

私は復讐の鬼。余計な争いは避けたい。


それに肉しか食わなそうな女戦士にローズは似合わない。


「逃げよう。うりゃっ」


レベルが上がっていい気になっていた。素のステータスは大したことがないのに身体能力で逃げようとしたのが間違いだった。


横に跳んだが、着地前にはアマゾネスが移動してて、デコピンを食らわされた。


ビシッ。


「ぎえぇ。スライムヒール、トカゲ再生、スライムヒール、トカゲ再生」


「む、オーク殺しのデコピンの傷を一瞬で治すとは魔術タイプか」


オーク殺し・・。


「攻撃スキルは周りに飛び火する。違うスキルで避けよう」



こいつを飛び越えて、逃げの一手だ。


「トノサマホップ、あっ」


やらかした。トノサマホップは有能だけど、調整が効かない。足場がいい床から跳んだら上なら5メートル、前なら15メートル跳べる。


アマゾネスの女を斜めに飛び越えたあと、5メートルもないドアの前に着地できない。かといって、採光用の窓までは届かない。


「やべ、壁にぶち当たる。ヘラクレス・・中止」


視界に入るのは、15人ほどのギャラリー。若い男も、おっさんもいる。そして私のロングスカートはまくれあがっている。


「変身は見せられん」


バギッ。


「ぐはっ。「トカゲ再生」。思った以上に痛い。素の私は紙装甲すぎなんだよ。ちくしょう」


「おおっ!魔力が瞬間的に膨れ上がったかと思ったら、大ジャンプしていた。高位の術者アヤメ、戦え!」


「嫌よ、もう泣きたい」


ドアの前に着地したから、急いで逃げた。


魔力感知か。そっちの方面から私の異常性がばれることもあるのか。


とにかく私は復讐の鬼。


ローズによって、おかしな方向に導かれないことを祈りながら、街を逃げたした。







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