第14話 蜘蛛の糸に要注意

サボサの街から目的地のラヒドまで直線で100キロ。西、要するに左側に海を見ながら北上する。


街道が通っていて順路で130キロくらい。途中に15キロから20キロ置きくらいに村がある。


私は魔獣の魔石を食べてスキルを得る『神ノ技能 魔方陣転写』をもらった。それを生かすため、動物系、爬虫類系、昆虫系と、あらゆる魔獣を捕まえて魔石を食べるのだ。


サボサを出て2日目、海岸近くの松林にいる。晴天だ。


寝泊まりのために途中の村に立ち寄っているが、移動ルートは変則。


「女郎蜘蛛みっけ。意識して探すと意外といないもんだな。ダンゴムシも捕まえたし、「スライム消化」で魔石ごと食おう」


「スパイダーネット」「蜘蛛の糸」とダブルでスキルが手に入った。

糸は粘着性。

手のから「スパイダーネット」を出すと、漁師の投網のようなものが飛んでいった。


うまく木の間に飛ばすと、直径5メートルの蜘蛛の巣ができた。いかにも強力そうだ。




次に10メートル上の松の枝に「蜘蛛の糸」を跳ばそうと思ったが、先に異形変身から試すことにした。


言わずもがな、尻の方に魔方陣が浮いてきた。


「女郎蜘蛛の糸って、ダイレクトにケツから出るもんな・・」


蜂のとき以上にお尻が膨れる感覚。私の脚も合わせて伸びている。


「わーい。脚が細くなって伸びた。って何だよこれ、下半身が完全に蜘蛛だよ」


使い方は手と同じく2種類が浮かんだ。


尻を操作して射出口を松の木の上の方に向けた。


「スパイダーネット発動。うおおおお」


糸は一瞬で木の枝に巻き付き、私は10メートルの高さに持ち上げられた。


下半身から一気に引っ張られた。



「逆さまだよ。ロングスカートがまくれてるというか、でかい蜘蛛の化け物がロングスカートをはいてる感じかな」


昆虫系スキルは圧倒的に強い。だけど人間が昆虫と同じようにスキルを使うと異形すぎるのだ。


「10メートルも上がって怖すぎる。だけど景色はいい。念のためにヘラクレスガード」


糸は魔方陣から出ているので引っ張られる痛みはないが、ちょっと風が吹くと怖い。


ぷらんぷらんしていると、何かが見えた。

「街道の方に馬車がいるな」


高いとこだから200メートルくらい先に馬車、それに接近する何かが見えた。


「おおっ、貴族っぽい馬車に、何かにぶつかった。奇襲だよ。あのフォルムはオーガか?」


オーガと言えば身体強化か咆哮。どっちをもらっても使える。


「貴族なんか死んでもいいけど、どうにかしてオーガの魔石が手に入らないかな」


ヘラクレスガードだけ発動して、激戦地の30メートルまで近づいた。




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