第11話 スキル進化とフロッグキック

「鬼の牙」の2人目と3人目を仕留めた。


直接の復讐対象は鬼の牙の残り2人と商家のヤリステだけど、やつらの「悪のつながり」を考えると、すんなり終わりそうにない。


まあ、今は森を出て、街にでることが優先。


夜になったから大きな木を見つけ、トノサマホップで大きな枝まで跳んで寝た。


◆◆◆


朝イチで魔石の話である。


同じ種類の魔石を食べ続けるとスキルが進化する可能性が見えてきた。


起き抜けにミドルハニービーを捕まえて、魔石を取って食べた。2匹目だけど、うまかった。


ところが今、「猪突猛進」をくれた猪の同種を捕まえて魔石を取り出したけど、何も感じない。スキルをもらえなかったネズミと同じ感覚なのだ。


恐る恐る噛んでみた。


「ガキッ」

ただの魔石である。


蜂と猪、どっちの魔石からもスキルをもらっている。

なのに蜂の魔石だけいまだに食える。


「極上蜂蜜」


構築された魔方陣を見つめていると頭に数字が浮かんできた。レベル1・0001と。


私が割り出した結果は、蜂の魔石を9999個食べたら進化するということだろうか。


「猪突猛進」を何度も発動させながら魔方陣を見たが、何も浮かばない。


検証すると、ヘラクレスガードは進化しないが、収納スキル「ガマ袋」や「ポイズンニードル」は進化することが分かった。


ただ、今の「ガマ袋」は1・000。レベル2まで上げたとき、ガマキラーの称号をもらえそうだ。


高位ダンジョンには5メートルの大ガマもいるという。

その魔石から得られるものは、ガマ袋の大進化なのか、同系統の別スキルをもらえるのか、かなり楽しみが出てきた。



もう1週間は森の中にいる。


昼は獣と戦い、夜はトノサマホップで木に登り眠る。


そろそろ文明世界に帰りたい。


頭の中に浮かべたギルドの簡易地図を頼りに、北に移動した。

森の奥に走ると、狙い通りに湖を見つけた。


水際でブーツを脱いで探すこと30分、アマガエルとゲンゴロウの魔獣を見つけた。どちらも20センチある。

森を出たら海岸沿いの街で活動するつもりだから、水中活動スキルもぜひものなのだ。


一気食いするにはでかい2つの獲物を「スライム消化」で飲み込んだ。


ダブルで当たりだ。アマガエルから美脚、皮膜の魔方陣で「フロッグキック」をゲット。ゲンゴロウからエアー、透明膜の魔方陣で「膜呼吸」が手に入った。


「グルルルル」


喜んで油断してたら、狼5匹に囲まれていた。


水際で退路もなく普段なら絶体絶命だが、私には手にしたばかりのスキルがある。


「甘いよ狼君。フロッグキック、膜呼吸、トノサマホップ、トリプル発動!」


トノサマホップで湖の水面に飛んで、水中にドボン。太ももから下は、でかい水かきがついたカエルの足になり、一気に潜った。


膜呼吸も発動したが、魔方陣が浮かんだのは尻。ゲンゴロウは羽と背中の間に空気をためるのに、なぜ私は尻の穴から出た膜に空気がたまっているのか。


「空気タンクは尻から出てるのに、なぜか鼻と口から普通に呼吸ができる。これだけはおかしい」


納得がいかないながらも、2キロほど泳ぐと、湖から川へと水が流れ出ている場所を見つけた。


次はサボサの街だ。

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