第9話 復讐2人目
復讐対象の「鬼の牙」の2人を森の奥で見つけた。
170センチずんぐりの若いザムダ、30歳に見える剣士のベンだ。
湖まで300メートル、獰猛なミドルハニービーの巣まで100メートルの距離。周りには木が生い茂っている。
私を探しにきたのか、何かの依頼か。どちらにしても、ここまで入って来れる実力者だ。
けど、今の私には3メートル熊の一撃でも無傷だったヘラクレスガードがある。
攻撃スキルも手にした私は、すでに獲物ではない。捕食者だ。
こっちに歩いてくる男達との距離が50メートル。
「ヘラクレスガード、お尻のポイズンニードル、ビッグアゴー、トリプル発動」
がさっ。20メートルで姿を現してみた。
「うん?ザムダ、ありゃなんだ。蜂かクワガタか? 新種の化け物がいるぞ」
ぼそっ。
「全スキル解除」
「えっ、ベンさん。化け物が女に変わりましたよ。ありゃ、探してたアヤメだ」
「どういうことだ」
発射してないけど、ポイズンニードルを準備して体を変化させた。すごく高揚して、あいつらを殺したいと思った。どうも「異形変身」をすると、姿だけでなく気持ちまで残虐に変わるのかも知れない。
「化け物、化け物ってうるさいわ。悪者から逃げて森の中で静かに暮らしたいのに、よりによってあなた方と会うなんてね」
「お前、さっきの姿は・・」
「何かいたのかしら。幻覚でも見たのなら頭がおかしくなっている証拠よ。早く帰りなさい」
「ちょうど良かった。今回は別の依頼で森に来たが、行方不明になったダムの代わりにお前を探せって言われてるんだ」
「そうだ。ヤリステさんがお前に用がある。おとなしく付いて来い」
陵辱されて殺されると分かっていても、私を商家のヤリステに渡す気か。有罪。
「とりあえず、ずんぐり君は寝てなさい。ヘラクレスガード、熊力、そして「猪突猛進」発動!」
どんっ。
時速80キロくらいだろうか。わずか20メートルほどの距離だが、一気にダッシュしてずんぐり君のみぞおちに突っ込んだ。倒れたずんぐり君右足太ももにはポイズンニードル当てて、完全に動きを止めた。
「剣士ベンおじさん、私の訓練に付き合って」
「いきなり真っ黒になって、お前は何もんだ」
「アヤメよ。あなた方に殺されかけて、復讐するために帰ってきた、ア・ヤ・メ」
手でポイズンニードルを出して、刺しにいったけど剣で受け流されれた。前傾に体が流れたとこを薪を割るように、剣で私の首をずどん。
「うーん。首にずどんときた。さすがね。スライムヒール、トカゲ再生。じゃあ次」
フェイントを入れようが何をしようが、かわされて的確に急所に剣を振ってくる。
「はあっ、はあはあ、間違いなく俺はお前を殺ったよな・・」
だけど私は無傷だ。
「そろそろ飽きたし、私は肉弾戦がダメすぎ。性能を生かすか」
2メートル離れて、剣士ベンに向かってトノサマホップ。
ぶしゃああああ。
「ぐうっ。なんだそりゃ」
私はスズメバチのお尻から出したポイズンニードルでベンおじさんに初のダメージを与えた。
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