第7話 早くも鉄板装甲

森の中で過ごして4日目、3メートルの熊を見つけた。

今まで見た中でも格段にでかい。

回避するためにトノサマホップで大きな栗の木の枝に跳んだ。


そこで、甲虫を見つけた。


色んな種類がいて、みんな体だけで10センチはある。木の裂け目の奥から出てこないけど、ポイズンニードルを発動して、木を削った。


「よし、カブトヘラクレス、ヒライクワガタゲット」


「スライム消化」を使って2匹を食った。


まずカブトで当たりだ。魔石を食べると、鎧、皮膚、硬化、黒光りの魔方陣が頭のなかで組合わさり「ヘラクレスガード」が構築された。


「ヘラクレスガード」


私の手足が黒光りし、メタリックになっているが、関節はきちんと動く。


顔をさわると普通に柔らかいが、コンコンと叩くと金属音がする。


衝撃を食らうと硬化する皮膚のようだ。


紙装甲だった私が、欲しかったスキル。


これなら裸になっても、ボディースーツを着てると言い張れるかも知れない。


ドンッ。


「うわわっ」


木に何かぶつかって、私は5メートル下に落ちた。


ヘラクレスガードのお陰で痛くないが、大ピンチだ。


「ぐるるるるる」

「さっきの熊だ。大きな音を出しすぎた」


熊は鈍重に見えて足が速い。これは逃げられない。


「いきなりヘラクレスガードの性能テストかよ」


もう熊は右手を振りかぶっていた。


ガスッ。


死んだ、と思ったが、無事だった。衝撃があって飛ばされたが、無傷だ。


「すごい。超高性能だ」


少し余裕が出ると、クワガタにも何かもらっていることを思い出した。


「ビッグアゴー」

大きなアゴ?


腕と下顎に魔方陣が浮かぶ感覚だ。


そのタイミングで熊が私を押し倒し、喉元に噛みついた。


カギッガギッ。


ヘラクレスガードのお陰で痛くない。


「いけえ、ビッグアゴー」


バギン!


「へ?」


1メートルに伸びたクワガタの大アゴが、熊の頭を両断していた。


しばし呆然としたが、にやけてきた。


「使用MPが分からなくて心配だけど、さらに森の奥に入っても生き残れそう」


魔石を取り出して食べると「熊力」をもらった。

ヘラクレスガードと同時発動しても、ガードが柔軟に膨らんで、そのまま腕が太くなった。


ポイズンニードルもヘラクレスガードの上から発動してくれる。


それに街に出たときに換金するための素材が手に入った。



「ガマ袋」


手から1分ほどかけて、空間収納に熊を吸い込んだ。


ガマと同じく口から吸い込めるが、死体は嫌だ。

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