2
「
「……
心臓に悪い……」
「えー?
これ位、普通っしょー?」
「それは、
「ま、ま、ま、それは置いといてー」
「よし、よしー。ちゃんと私の事、名前で呼んでくれたねー。
偉いぞー、
「はい……えと……恐縮です……」
中々に従順で可愛い。
「さて、と。そろそろ行こっか?」
「は、はい。
それより、
「あー、これー?」
胸と両腕でサンドしていた
「なーにー?
恥ずかしいのー?」
「は、はい……。
なので、その、そろそろ……」
「うーん……」
考えてるポーズだけを取り、私は先生に提案した。
「どうしょっかなー。
「
は、はい! が、頑張りますっ!」
「ぐーふーふー。夜の方をー?」
「はい!
僭越ながら、精一杯プランを練って来たので、お任せを!」
うわー。華麗にズレてるなー。堪らんわー、
「あ、そだ
トイレ行きたくなったら、
「い、いえ、ご心配無く!
変な物を食べたりしてませんので!」
ひゃー、何この人、純情、超面白ー♪
益々、楽しくなって来たー♪
※
石ノ森〇画館、そして大成苑に気軽、短時間で行ける事は石巻民にとって最大、最高の特権だと思う。二箇所の距離も近いし。
それはさておき。私達は心行くまで萬画館デートを堪能した
「……
「あー」
確かに、チーズ揚げたい焼き三つ、クリーム揚げたい焼き3つ、フライドポテト3パックは、食べ過ぎかもしれない。軽くない昼食だ。
っても、私にとっては普通だけど。
「
「いえ。少し驚いただけです。
「ぐーふーふー。良く出来ましたー」
ティッシュで指を拭ってから、私は横から先生の頭を撫でた。
わー、犬耳と尻尾が見えるー。
「私、ポテトがフェイバなんだよねー。
ケンタのもビスケットとタイで一番だし、ファミマのサラダエレガンスも好きだし、ポテトだけ目当てでサブウェイは
ポテチも主食ー、
って
私が首元を少し涼しくすると、
まぁ、お可愛いこと。
「て、丁重にご遠慮しておきます……。
それより、そういう話でしたら、良かったら今度、僕が作りましょうか?」
「マッジでー?
「えと……すみません。
何が来る? 来てる?んでしょうか?」
「
余計、唆られるー」
「は、はぁ……。
えと……ありがとう、ございます?」
へぇ、粘るじゃん。こりゃ、どこまで耐えられるか見物だなー。
「まぁ、
それより、ほら、あーん? それとも、
「い、いえっ! お構いなくっ! 恐れ多いっ!」
さてさて……どうやって、落としてやろうかなーっと。
※
ミス○にビアードパ○にソフトクリーム、サーティワンにクレープにフルーリーに、ミックスジュースにたこ焼き、締めにスタ○。
そんな具合に、イオンモールをグルメ(専らスイーツ)ツアーして回った。
「
私がこのルートをハイ·ペースで行くと、
まぁ拒否りはしない辺り、血は争えないってーか、やっぱ女だよねーってーか」
「……
「んー? 余裕ー、余裕ー。
私、お金はたんまり持ってるからー。自分でも把握するのが面倒な
「……
住んでる世界が違う……」
先生の何気ない一言により、私の中でスイッチが入った。
私は、甘い物を食べ過ぎて肩で息している先生の前に立ち、その腕を放し、彼の両頬を包んだ。
「お言葉だけど、先生。
私は、きちんと、ここに
でしょ?」
始めは照れて焦っていた先生だったが、ただならぬ私の雰囲気を読み取り、その瞳が不安で
「……すみません。
もしかして、お気に触ってしまいましたか?」
……なーる。多少の鋭さは有るんだ。
私は普段、何事においてもネタバレを調べてから臨むタイプだけど、これはこれで新鮮で、味わいが有る。
私は何も答えず、
「べっつにー♪
それより、ぼちぼちディナーの時間じゃない? 美味しい所、連れてってよ?
などと私が右手を差し出すと、
「
……まぁ、合格かな?
月並みだけど、ノッてくれたし、「まだ食べるんですか……?」などとドン引きしなかったので、おまけで及第点としよう。
※
『自宅が仙台に有るけど、電車が運休で帰れない』
『母親と喧嘩中で締め出されたから、実家にも帰れない』
そう明かすと、
後者は事実だが、運休なんてのは嘘だと見破らずに。
「すみません、散らかってて。
「平気、平気ー。
今まで付き合ってた男の中では、断トツでー」
ハンガーにスーツをかけていた先生の手が、止まった。
やや経ってから、先生は動きを取り戻し、こちらを少し振り向いてから、何事も無かった
「あー。やっと
先生の読み通りだよー。私は今まで、何人とも付き合ってたし、それっぽい事もした。彼氏じゃない男とも、普通にしたよ?
まぁ
ベッドに腰掛け足をブラブラさせた
「
私の体や外見、お金が目当てってだけで、一緒に
もー
先生、私とシたいんでしょ? 私は別に構わないよ? 今夜、泊めてくれるし。
っても、まだ未開封だけど。先生なら、構わないよ?」
私が本気で言うと、先生は肩を怒らせつつ私と向き合い、怒りを示す。
「
「へー。先生、結構強情だねー。
ま、逆効果なんだけど」
私は立ち上がり先生に近寄り、ワイシャツ姿の先生の胸に手を当て、ボタンを外して行く。
その手を、先生が少し荒々しく止めた。
「……何するの。先生だって、その気だったんでしょ?
だって今時、
「その真偽はさておき。
残念ながら、ここに一人、
あなたが言う所の、善意だけで異性と一晩過ごそうとしていた男が」
「ーーえ?」
待って。え、マジで待って。嘘でしょ?
この人……本気で、純粋に、私を泊めてくれるだけの
じゃあ今日のリアクションは全部……あれが、素? ありのままの、姿だったって事?
先生が私の手を優しく戻す。
私は予想外過ぎる展開により、精神的に直立不能に陥り、ヘナヘナとへたり込む。
先生は、かけていたスーツを着直すと、財布やスマホや車の鍵を取り、腕時計を付け直し、代わりに別の鍵を机に置いた。
「この家の鍵です。
この部屋は、好きに使ってください。僕はスペアを持ってるので、
僕は今晩、ホテルに泊まります。その方が、どうやら互いにとって好都合みたいなので。
朝には戻る予定ですが、あなたの要望があれば昼頃に戻る形になっても構いません。
それと冷蔵庫に、作り置きや飲み物も入ってるので、好きにやってください。
それでは、おやすみなさい」
先生は最後に、まるであやす
私は、「ありがとう」も「ごめんなさい」も「おやすみなさい」も言えないまま一人、ポツンと部屋に取り残された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます