2章 斜関距離 -side.N-

1

 花鳥かとり 夏葵なつきが善人だと、誰もが言う。

 ただし、その度にうちは否定する。そんな事は無い、断じて無いと。





「だ〜か〜ら〜さぁ……何度、言わすん?

 うちが色々とやってるんはさぁ」

「はいはい、分かってる、分かってる♪

 助けてくれてサンキューねー、夏葵なつき〜♪

 愛してるよ〜♪」

「はいはい、うちもー」

 ……っ本当に分かってるんかな? あれ。

 などと思いつつ、隣の教室からやって来た子が帰るのを見送る。



夏葵なつき

 この前の告白セリフのチェック、どう!?」

「ちょっと重い。長い。くどい。本題に入らなさぎ。

 うちの姉二人をフュージョンさせたような感じだった。

 ただ、他は充分、合格点。

 むしろ、こっちが逆に学ばされた。コピーに修正点書いたのと、コンパクトに纏めた参考例も仕上げて来たから、渡しとく。

 ただし、あくまでも一例ね?

 ハートぶつけたいなら極力、自分の言葉で伝えなきゃだし」



夏葵なつきさーん……彼氏にまた、既読スルーされたぁ……。

 もう、駄目ダメかもぉ……」

「あんたの彼氏って、4組の工藤でしょ?

 昨日、本人に問い質したけど、恋人あんたるのを知った上で、別の女子に連日、しつっこくアピられてるらしいよ。

 でも、それであんたを巻き込みたくないし、男として彼氏として、意地でも決めたい、心配かけたくないから隠してるって真相。

 今日にでもきっちり清算するらしいから、キツいだろうけど、も少し耐えな?

 まだ煮え切らないようなら、うちが仲立ちすっし」

 


夏葵なつきちゃん、ごめん!

 今日、急遽きゅうきょ合コン、入っちゃったの!

  いつもの、お願い出来る!?」

「はいはい。

 ミラー·ボール付きの団体部屋の予約でしょ?

 機種はLSS、コースはイタリアン、ポテトと唐揚げの食べ放題と飲み放題でフリー·タイム。

 了解。セッティング出来るよう、店長に頼んどく。

 てか、あんた今月、ハピバだよね。おめでと。

 だったら、サービス組めるじゃん。あんた、お祝いごと、好きでしょ?

 大好物のチーズ·ケーキ、頼んどく」



「頼む、花鳥かとり

 彼女が今日にでも俺とアイアントマン観たいってんだけど、俺、あのシリーズ未経験でさ!

 出来できれば放課後までに、掻い摘んで、教えてくんね!?」

「あいよ。

 ただし一、二時間目のノート、うちの分も取る事。

 あと、うちがもし当てられたら、代わりに答えるかフォローする事。

 その条件が呑めるなら、三時間目の前までには纏める。

 あと、可能なら全部マラソンしてから、レンタル開始してからでも構わないから、もっかい観な。

 その方が楽しめるし、あれは何度観ても面白いから」



 とまぁ、こんな調子で次々と、またしてもドバッと、うちを中心にクラスメイト達が群がる。

 いや、あの、別にうち、ブラック·ホールじゃないんだけど? ジケ○ドかよ。



「相変わらず、好かれてるわねぇ。夏葵なつき

 いつの間にか教室に入って来ていた、このクラスの最高カースト、門前もんまえ ゆかり

 彼女の揶揄からかいに対し、私は小言を返す。 



「あんたに言われたくないわよ、ゆかり

 それに、うちは別に、やりたくてやってる訳じゃないっての。いつも言ってんじゃん。

 うちが色々、尽くしてんのは」

「先行投資みたいな物。……でしょ?」

 うちの言葉を横取りすると、ゆかりは優雅に横に立ちうちの肩に軽く触れる。

 何故なぜか気恥ずかしくて、うちは顔を逸す。

 相変わらず、スキンシップが多いなぁ、ゆかりは。未だに慣れない。



「……そうだけど」

 ゆかりうちのリアクションを見て微笑むと、次いでパン、パンと手を叩き、自身の胸の前に手を当てる。

 おい、こら、ほとんどの男子、目ぇ輝かせんな唾飲み込むな。

 確かに豊満だし柔らかいけど(彼女がことあるごとに必要以上にくっ付いて来るから熟知済み)。


 

「ほら。依頼は一旦、終わり。

 このままじゃ夏葵なつき、作業に入れないでしょ?

 相談なら、私で良ければ、微力ながら乗るから。

 ね?」

 ゆかりの宣言に導かれ、今度は彼女の元に、悩める子羊達がこぞって導かれる。

 こういう時、ゆかりると、本当ほんとうに助かる。

 でないとうちは、いくらでも、二つ返事で引き受け、期待や期限、ノルマ以上にこなしてしまうから。



 クラス中の生徒の注目をゆかりが独り占めする中、うちは、自分以外にその輪の中に入ろうとせずに本(ブック·カバーに隠れてて表紙は見えない)を読んでいる、一人のノッポを眺めた。

 外見や成績は優れてるのに、依然として、周囲に溶け込まない男子だ。

 あの無表情の裏で一体、何を考えているのやら。

夏葵なつき

 手、止まってるわよ」

「おっと」

 ゆかりの教えられたうちは早速、アイアントマンについて簡潔に書き始めた。





「先行投資」

 昼休み。

 みんなから姿を消し校舎裏に隠れて、持参してから何ヶ月か設置済み(コーンを置いて飛ばないようにしている)のシートに座りつつ昼食のパン類を食べながらスマホで執筆していると、やにわに上から声? をかけられた。

 次いで、自分の体が黒い大きな影に覆われ、その意味でもギョッとした。



「ひっ!?」

 思わず我に帰る。

 見上げた先にたのは、クラスメイトで一匹狼の巨漢、……。

 ……えぇっと……。



「そうだっ! 夜的崎やまとざき!」

 思い出したうちは、相手の男子の名前を叫びつつ立ち上がり、えず片手に持っていたクリーム·パンを平らげ、ウエット·ティッシュで拭いてから、向き直る。

 その間、夜的崎やまとざきは無言で見下ろしているだけに留まった。

 いや、改めて見ると本当ホント、でかいな。これで高校では帰宅部とか、信じられん。

 完全に体育会系じゃん。まぁ本人は、ずーっと本読んでるから文学系なんだろうけど。



「……うちなんの用?

 食事位くらい、ゆっくり静かに取らせて欲しんだけど?」

「……」

 って、今度はシカト!?

 本当ホント、何なん!? 何考えてるんだか、素で分からん!



「何?

 言いたいことるなら、はっきり言いなよ。

 ただし、手短にね」

「いや……性格。

 ちょっとキツくなってっけど、ほとんどまんまなんだな、って……。

 いやにコテコテのツンデレだったんで、てっきりキャラ作ってて、でもずっとやってちゃしんどいから、人目を忍んで休んでるのかと。

 裏では、筋金入りのナルシストだったりするのかと」



 ……意外と周囲を見てんな、こいつ。

 確かに、クラスメイトの前に立ったうちは、少し印象を良くする為、我慢している。

 どっちかってーと今、夜的崎やまとざきと話してる方が、地に近い。

 しっかしまぁ……よもや、今までろくに話してない、ていうか然程、認識してなかった夜的崎やまとざきに、見抜かれるとは。一生の不覚かもしれない。

 と、たちまち恥ずかしさを覚えて来たうちは、反撃も兼ねて打って出る。



「ふーん。

 もしかして、それを確認する為に態々わざわざ、単身、私を探し求めて、ここに辿り着いたっての?

 随分ずいっぶん、暇なストーカーね」

「いや……少し、違う」

 いつも通りの、ボーッとした細い目で眺めつつ、夜的崎やまとざきは返す。



「先行投資。あんたさっき、そう言ってたろ。

 どういう意味なのか、ちょっと気になってた。  で、昼飯食べ終えて眠くなったんで、こっちで少し休んでようとしたら、あんた見付けて。んで、声かけた。

 そんだけ」

「いや、結構、衝動的だったんかい!?

 自由人か!?」

 つい、ツッコんじゃったじゃないのよ! なんなのよ本当ホント、こいつ!!

 などと思って、時間差で気付きづいた。



 そういえば、エスカレーター制だった事で幼馴染おさななじみばっかだったから忘れかけてたけど、あのクラスで唯一、夜的崎やまとざきだけは、高校から編入して来た。

 だから、うちの詳しい事情とか、知らないんだ。  


  

「驚かせたのなら、謝る。

 悪かった」

 うちがリアクションを示していると、いきなり夜的崎やまとざきが綺麗な姿勢で謝って来た。

 なんか、もー……そういうの、ずるい。

 みんなには隙間しか見せてない部分を、全開にしたくなるじゃん。



「……大して面白くない上に、長いわよ? それでも、聞く?」

 うちが前振りすると、夜的崎やまとざきは腰を戻し、うなずいた。

 それを肯定と取ったうちは、ブルー·シートに座る。

 次いで夜的崎やまとざきも、それにならう。



うちの父親の口癖よ。正確には、元だけど」

「……え゛」

「ち、違うっ。そっちじゃない。口癖。

 あー、もー、そんな申し訳なさそうな顔すんな、調子狂う……」

 こいつ意外と表情、豊かだったんだな……。

 いや……デフォで仏頂面な分、変わった時は余計、映えるというか……。



「話、戻すわよ。

 うちは、ていうかうちの二人の姉もだけど。昔から、父親にゲームとか玩具とか、買ってもらってばっかだった。

 で、プレゼントしてくれる時に、父親が決まって言うの。

 『これは、先行投資みたいな物。大人になったら、その分、どんな形でも、ほんの少しでも、たった一度でもいから、パパを助けてね』って」

「……い人だな」

「まぁ、ね。ただ、うちが反抗期に入った所為せいで最近、すっかり拗れちゃっててさ。

 おまけに、二年前から内の姉もダブルで家を出た物だから余計、ショック中。

 おかげで今じゃ、面影が無いくらい、ネガってるわけ

 で、本題なんだけど」

 目の前には木々しか立ってないとはいえ、スカートを気にしつつ体育座りの状態で、昔(っても、そこまで経ってもないんだけど)を懐かしみながら、うちは空を見上げた。



「誰かを助けられると、その誰かが困ってる時、今度は逆に助けたくなったりするでしょ?

 それが、うちの言う所の先行投資。

 うちは、あんたと違って成績はさして良くないし、誰かの補助が無いと生きて行けないの。

 末っ子として産まれ、5つ上の姉に甘えながら生きて来たから殊更ことさら、余計、そう思うの。

 実際、宿題の答え教えてくれたり、リアタイで何か頼んでるわけじゃない、こっちが趣味で小説書いてるってだけの時にうちの分もノート取ってくれたり。

 体操着やスプレー、辞書や教科書やワークや資料集を忘れた時に貸してくれたり、バイトが入ってる時に掃除や日直を代わってくれる。

 分かるでしょ? 持ちつ持たれつ、ギブ&テイクでWin-Winなの。

 だから日頃から、うちの出来る範囲で、うちなりに小まめに色んな事してみんなを手助けしてるってわけ

 いつどこで誰に何が起こるか分からないから、いざって時にも、そうでもない時でも、みんなが大なり小なりピンチのうちを助けてくれるように。

 ただし、そういう下心を潜めたままタスクなりノルマなり熟しても、遅かれ早かれ拗れるだけだから、あんな風にオープンにしてんの。

 分かった?」

いやに長いし饒舌だな。

 さては今まで相当、溜め込んでたな?」

「残念、不正解。

 リアルでも小説でも、小出しにしてばっかで不必要に伸ばすのが嫌いなだけ。ようはスタンスの問題。

 で? 理解出来たの、出来なかったの、どっち? 出来たのなら、さっさと帰ってくんない?

 あと、うちにあんま関わんな。なんか、良く分かんないけど、あんたとるとペース狂うし、それが凄く気に入らない。

 あ、でも、なんか手伝って欲しいなら言いなね。それなら、話は別。喜んで協力するわ。

 あんた、ボディー·ガードに打って付けだもん、媚を売ってて損は無い」

「前の学校で良く言われたよ。ここまでストレートじゃなかったけどな」

 いや、冗談のもりだったんだけど? 何この、嘘から出たまことみたいな感じ。

 などと心の中でツッコんでると、夜的崎やまとざきは少し髪を掻きつつ話を再開する。帰るもりは無いらしい。  

 


「まぁ……あんたの主張は理解した。

 でもあいつ、てんで信じてなさそうだったぞ?

 多分、照れ隠しとかだと勘違いしてるぞ?」

「それな。

 ホンッッッッットに、もぉ……何遍なんべん言っても、てんで信じてくれないんだよなぁ。

 別にうちだって、善意だけでやってるってんじゃないのに、真面目まじめ気取りの捻くれた偽善者なのに、勝手にそうだと思い込み、決め付けてるの。

 だから、始末に負えないってーかさぁ……」

 ……改めて立ち返ってみると、なんうちってば、こんな相談してんだろう。同じ教室で居始めて、まだ一週間位くらいないのに。

 上手く言えないけど、こいつ、妙に柔らかいオーラ有るんだよなぁ。

 なんてーか、こー……明かしたくなるような感じ? 神父とか住職とか? あんな感じの。

 いや……もしかしたら、まだ気心を知るには一緒に過ごした時間が短過ぎるこいつだからこそ、打ち明けられるのかもしれない。

 もしくは、うちがそろそろ、ボランティアみたいな事を続けるのが限界だったのかもしれない。

 あるいは……全部かもしれない。



「……俺が思うに。

 あんた、そこまで無理する必要、無くないか?

 あいつの頼みのほとんど、スマホさえ使えば事足りるだろ。

 なんであんたが態々わざわざ、そこまでするんだ?

 別に、そういうのをする事自体が好きなわけでも、喜びを見出してるわけでもないのに。

 いくらなんでも、そこまでする必要が有るか?

 このままじゃ、あんた、脳なり体なり精神なりスケジュールなり、パンクしちまうぞ?」

「……?」

 そううちに語る夜的崎やまとざきの瞳は、クールさの中に真剣さ、そして気遣いを帯びていた。

 え、待って? ……もしかして、こいつ……。



「あんた……うちの事、心配してくれてるの?

 それを伝えるためだけに態々わざわざ、貴重な昼休みを使って、うちを探してくれてたの?

 じゃあさっきの昼寝云々は」

「……ただの方便。そもそも、飯すらまだ。

 それが?」

 給食という、合同で食事する縛りから抜け出した高校生にとって、昼休みがどれだけの希望、魅力に満ちているか。

 それは、実際に高校生活を送った者なら誰しもが、筆舌に尽くしがたほどに、少なからず把握出来ていることだろう。

 その貴重な時間を、この男は、自他共に認めるほどっ飛んだ事をしている変なクラスメイトのために、ついやしたのだ。



 本当ほんとうに、真面目まじめというか、なんというか……やつだな、この男子は。

 ここまで信頼を置けそうな人間は、家族(というか舞桜まおちゃん)とカヅにぃを除いては、ゆかり以来、以外にない。

 それも、小学校の頃からこれまでのうちに彼女との間で積み上げて来た関係性と同じくらいの高さに、夜的崎やまとざきはたったの数十分で辿り着いた。



「ぷっ……。……ははっ……。あははははははははっ!!」

 我ながらチョロいなぁとか、こいつ天然ジゴロかよとか、そんな事を思っていたら、気付きづいたら声を上げて笑ってしまっていた。

 クラスメイトに見られたら、ちょっと引かれそうなレベルで。



「……もしかして、俺……馬鹿バカにされてるのか?」

「違う、違う……。

 ごめん、でも、ちょっと待って……。

 ぐ、回復するから……」

 事情を飲み込めず困惑している夜的崎やまとざきには悪いが、笑いぎてお腹が痛くなってる上に呼吸も覚束おぼつかない状態では真面まともに話せないので、少し時間をもらって落ち着きを取り戻した。



「名前」

 そして、涙まで流していた事に気付きづいたうちは、それを拭うと、気持ちを新たに夜的崎やまとざきと向き合い、切り出した。

「あんたの名前、教えてよ。夜的崎やまとざき。これからはあんたのこと、名前で呼ぶ」

「……知らないのか?

  一週間も一緒の教室にるのに?」

「だって、てんで興味無かったんだもの。

 あとあんた、普段は近寄るなオーラ出してるし。

 今は、そうでもないけど」

「別に、そんなんじゃない。

 ただ、基本的に、一人でいるのが好きなだけっつーか、性に合ってるだけだ。

 それと、こっちから親しくなる方法が分からないだけだ」

「ふーん……それなのにうちの事、助けようとしてくれたんだー?」

「言ったろ? 『基本的に』だ。

 例外も有る」

「それもそっか。

 まぁ、そこら辺の事情は置いといて。誇りに思いなよ?

 うちが相手を、名字被り以外の特別な理由、関係にのっとって名前で呼ぶのは、あんた以外じゃゆかりくらいよ。

 舞桜まおちゃんとカヅにぃは別として」

舞桜まおちゃん?

 カヅにぃ?」

「あー、5つ上の姉。

 うち一番いちばんの理解者で、うちがどんだけ甘えても、ちょっと困りながらも拒まない、自慢の姉よ。もう一人とは大違い。

 で、カヅにぃは、その幼馴染おさななじみ

 今度、紹介する。何たって、今日からうちとあんた……」

空晴すばる

「そっ。

 じゃあ、空晴すばるうち空晴すばるは、今日から親友。

 謂わば、マジ最強のズッ友。

 だから空晴すばるも遠慮せずに、夏葵なつきって呼びなね。

 その方が、こっちもうれしい」

随分ずいぶん厚い高速掌てのひら返しだな。

 急展開過ぎて、オレでなきゃ見逃しちゃうね」

「ちょいちょい思ってたけど、あんた、オタクでしょ?  今のもだけど所々に、それを感じさせる所が有る」

「類友だろ」



 話が脱線したが、うち空晴すばるは互いを見合ったあと、少し笑い、握手した。

 こうして、この日からうち空晴すばるは、特別な関係になった。



「あ。でもうち、ボランティアはめないかんね?

 やっぱ、保険はかけときたいし。

 もう少ししきりに理由をアピれば量や回数は減るだろうし、それでいっしょ?」

「……夏葵なつき

 あんた、趣旨まるで分かってないだろ……」

「いや、意外と順応性、高いのね、あんた!?」

「……夏葵なつき?」

「はいはい、分かりました、分かりましたぁ!

 善処しますぅ!」

「どんな風に?」

「最大限、減らせるようにぃ!

 どうよ、それで満足でしょぉ!?」

「……ビクト○ームの手紙でも大量に来たのか?」

「思った! てか、意識してた!」

「あ。そういえば、そろそろ昼飯っていか?」

「マイ·ペースか! さっさと食べろ!」

「あと、もう一つ。ずっとあんたの事、頭パッパラパーなパリピだと思ってた。

 存外、真面まともなのな。詫びる」

「い、いやぁ……うちもあんたのこと、ノリ悪くて無愛想なツレないやつだと思ってたし、お互いさまってこと……に、なっかぁ!

 失礼極まりないんですけどぉ!?

 校舎裏来いやぁ!!」

「もう来てる」

 最後は、ちょっと締まらなかったけど。

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