第14話 非行の告げ口

「だから、昨日の夜遅くに、ガブリエルのソレがテラス近くの換気窓の窓枠にしがみついていて、降りれなくなっていたんだよ。」


はい、チクったー。ルークは口が軽いィ。僕は聞こえないふりで、目の前の食事をモソモソ食べながら朝食の会話を聞いていた。何だか皆が僕を見ている気がする。


「え?本当に?ジュニは朝ちゃんと籠の中に居たよ?兄上が戻してくれたって事なの?確かにいつもと違って、全然起きなかったけどね。」



ガブリエル少年の声が、また僕の立場を危うくしている…。すると伯爵のイケおじボイスが聞こえてきた。


「じゃあ、ジュニは夜に城の中を徘徊して遊んでるってことなのか?それにしても窓枠にしがみついていたという事は夜遊びにも行っていたという事なのかもしれないね。ルーク、お前と一緒だな。ハハハ。」


本当それです、伯爵。一緒の酒場に居たんですよ?良いんですか、伯爵令息がそんな事で。僕は副音声よろしくキュー、キュ言いながら、機嫌よく朝ごはんを食べ続けた。会話の矛先が僕からルークに向いたので、僕はニヤニヤと機嫌を良くしたんだ。



「父上、またジュニがそんな危ない場所から出入りする様なら、もっと下の方にジュニ用の出入り口を作って上げてくれませんか?ジュニはあの体型でしょ?水の中は得意でも、確かに高い場所から降りるのは下手ですから。」


うん?ガブリエルの提案には大賛成だけど、一瞬ディスられた気がする…。まぁいいや、取り敢えず賛同の声を上げておこう。僕はキューと大きく鳴いた。



「やっぱりあの子は私たちの会話が分かるみたいだわ。ホホホ。本当に可愛らしいわね?」


そう伯爵夫人が言うので、僕は皆んなから注目を浴びてしまった。ちょ、思わず魚のサイコロステーキを掴む手が止まっちゃったよ。僕が思わず顔を上げて朝食テーブルを見上げると、バチッとルークと目が合ってしまった。


するとルークが一瞬眉を顰めたのが見えて、僕はやっぱりルークとは距離を置かないといけないなと思った。ああいう、鋭いタイプは何処から僕のボロを見つけるか分かんないからね。用心、用心。



それに昨夜は僕のこと、仲間と待ち伏せしてたんだった。もしかして家族の前じゃ品行方正な振りして、ルークって裏の顔は、ドラ息子だったりするのかな?まぁ、もう街で会うことなんてないか。僕専用の扉ができるまで、しばらくは大人しくしていることにしますか。


僕は機嫌良く顔を天井に向けて、美味しい朝食をムシャムシャと食べた。今度、料理番に撫でさせてやろうかな。あー、うま。




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