第31話 警護

 翌朝、目覚めるとブロンドの髪をしたダニエラの顔が近くにあった。


「レオ、もう朝よ。さあ、起きましょう」

 俺はダニエラにうながされ立ち上がった。

 どうもこの体に転生してから早起きが苦手になった。

 きっと以前と違い、何時に起きないといけない!という制約がなくなったからか。

 どちらにしろ、ダラダラ生活です、はい。


『そういえば憲兵が事情を聴きに来るっていってたよね?』

「今朝早くきてもう帰ったわよ」

「そうなんだ」

「でも憲兵がいうには捕らえた4人の暴漢は、手足や口の骨が折れて起き上がるのも話すのもやっとで事情聴取にならないそうよ」

「あははは!」

 手加減したんだけどな…。


「狙いは私かお父様。だからしばらくは警戒してほしいといわれたわ。商人が力をもち過ぎたのね。最近では父の財力や貴族との繋がりを期待して、すり寄ってくる人も多いわ。警備の人数も増やさないといけないし。これから益々、外に出れなくなるわ」

『大丈夫だ、俺がいるから』

「まあ、頼もしいのね。それに本当だったら今日、レオ用のマジックバックを魔導具師に頼みに行きたかったのに。父が警備の手配が出来るまでは駄目だというから」


 当然です!昨日の今日ですから。お父さん正解!!


「そういう父も今夜は商人の会合かいごうがあるといっているし。こんなときこそ休めばいいのに…」

「欠席できないのかい?」

「それが父はこの辺りをまとめる商人の相談役なのよ。だから休めないの」

『そうか』

「かといってそんなに早く信頼できる腕の立つ警備は集まらなくて。我が家は母が若いときに他界し、父と私の2人なの。父ならいくらでも望めば嫁にくる人はいるのに…。母を忘れず再婚もせずに私を育ててくれたの」


『それは大変だったね。お父さんはいくつなの?』

「たしか38歳よ」

『それなら今からでも遅くないのでは?』

「そういっているんだけど中々、ウンといわなくてね。私が婿をとるのを待っているのよ。でも父になにかあったらと思うと、心配で…」

『それなら俺がしばらくは陰から警備につくよ』

「レオが守ってくれるの?ありがとう、それなら安心ね」


『お父さんが会合かいごうで屋敷を出るときに教えておくれ』

「わかったわ」

『それまでどうしようかな?ダニエラは昼間はなにをしているんだい?』

「う~ん、商売の勉強や店の手伝い、それとお祈りとかな?」


『それならこの国のことを教えてくれないか?』


「いいわよ。明日はレオもお勉強ね」


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