第26話 目的

 ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、

  ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、

   ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、


 建物が、地面が揺れている。


「レ、レオ君、落ち着いて。そんなに怒らないで。この悪いおじちゃんに私が後で『めっ!』て、しとくから。ねっ?ねっ?」

 キリルのクリクリした目が俺を諭す。

 しかたがない、キリルの顔を立ててやるか。

 そう思い俺は解放した魔力を抑える。


「ふぅ~、ギルドマスターこれからは、レオ君を怒らせないでくださいね」

「ほ、本当にさっきの魔力はそのムサ、いやモモンガなのだな」

「えぇ、そうよ」

「では確認させて頂こう」

 ギルドマスターはそういうと俺をじっと見つめる。

 目と目で通じ合うとでも?


 ”チッ、チッ!!”


 俺は何かを弾いた気がした。


「駄目だ、私の鑑定が弾かれた。私よりレベルが上だということになる。どうやら君たちのいうことに間違いはなさそうだ」

「だから言ったでしょ。ねっ、レオ君は名持の神獣だもんね」

 キリルは俺に頬を付けてくる。

 しれならこちらからもいくぞ、スリスリ返しだ。

 それスリ、スリ、スリ、スリ、


「神獣だと?!私も長いこと生きているが神獣に出会ったことはない。しかも名持とは…」

「まあ、エルフのギルドマスターでも知らないことがあるのね」

「私も万能ではないからね。では君たちが見聞きしたことを話してくれ」

「見聞きといっても俺たちが見たのは、レオがロックちょう3体を空中で倒し叩き落すところだ」

「叩き落とした?!」

「あぁ、こいつは強いぜ。なんせ打撃だけでロックちょうを倒したんだからな」

 いえ、打撃技しか今のところスキルがないので…。


「打撃だと?!こんな小さな体でか?」

「そしてレオは倒した後いなくなった。俺たちはロックちょうをそのままにしておくわけにはいかず、マジック・バッグで収納していたところに出くわしたのさ」

「しかし未だに信じられん」


「それから戻ってくる途中で、野盗に襲われた村があった。俺たちで対処したが、ロックちょうの被害にあった村々を含めて見舞金を出してあげてほしい」

「もちろんだ、早急に王都にも報告を入れ援助を願いでよう」


「では中庭にでてロックちょうを出してもらおうか」

「検証をするわけだ」

「3体とも素材は買取でいいな。依頼報酬以上の金額になるだろう」

「今回の依頼はついていたな。あぁ、それからもう1つ。レオは俺たちが捕まえて連れて来たわけじゃない。お願いしてきてもらったのさ」

「そういえばなんの拘束もしていないようだな」


 はい、目的は王都観光ですから。


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 明けましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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