第25話 冒険者ギルド

 冒険者ギルドの中に入ると、屈強な男たちがたくさんいた。

 しかし男の体臭の匂いが凄い…。

 部活部屋か?!

 お風呂文化が浸透するのはいつだろう。


「『草原の牙』だ。指名依頼を受け調査から戻ってきた」

「お疲れ様です、では二階へどうぞ。そちらの部屋でお待ちください」

 俺たちは案内された部屋に入る。

 その時、案内をしてくれたギルドの受付の女性は、キリルの肩に立っている俺に目がとまり『まぁ、可愛い』といってくれた。

 そうだろうな、30cmくらいの小動物が赤で統一された中折れ帽とマントを着て、帽子の横には白い羽を付け、黒いブーツを履いて腰にはレイピアを下げている。

 そんな姿を見たらなんて思うんだろう?

 犬に可愛い服を着せて耳にリボンを付けて可愛がる飼い主、的な感じかな。

 きっと『可愛いペットを連れている』と思ってたのだろう。

 ある意味、それが通るならどこへでも出れそうだ。


 そんなことを考えていると線の細い若い男と受付の女性が部屋に入って来た。

「ギルドマスターのゲルマンをお連れいたしました」

「いや~、待たせたね。無事、任務が終ったみたいで良かった。で?結果は」

「暴れていたのはロックちょう3体だった」

「ロックちょうだと?!」

「そうだ、そして餌を求めて村人を襲っていたようだ」

「こうしてはいられない。では早急に討伐部隊を編成しなければ」

「いや、もう討伐は必要ない」


「さすがはAランクの冒険者だ。しかしよく空中を飛んでいる魔物を倒せたね」

「いや、倒したのは俺たちじゃない」

「君たちではないと?!ではいったい誰かね?」

「ここにいるレオさ」

「レオ?」

 そういわれ俺は胸を張ってみせた。


「そういえばそのペットは何だね?随分可愛い格好をしているが」

「こいつがレオだ」

 こいつ、てラルフめ…。

「そのモモンガのような、ムササビのような小動物がかい?冗談はやめてほしいな」

『俺はモモンガだ~!!キィー』

「まあ、まあ、そう怒らないで」

「どうしたのかね」

「レオ君がムササビといわれて怒っているのよ。彼はモモンガよ」

「そんなどうでもいいことはさておき、」

『どうでもいいことだと!!』


〈〈〈〈〈 ズゥ~~~~ンン!! 〉〉〉〉〉


「うわ~!!なんだこれは?!」


〈〈〈〈〈 ゴォォォォ~~!! 〉〉〉〉〉


 ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、

  ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、

   ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、


 家屋が揺れギルド近郊の地面や建物が揺れる。

 その日、王都に激震が走った。


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 読んで頂いてありがとうございます。

 あっという間の1年でした。


 また来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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