第22話 王都へ

 俺は『草原の牙』という3人組と王都に向って歩いている。

 王都に行って俺が無害だと証明するためだ。

 そのまま無視してもよかったが、王都に見物に行くのも良いかなと思い同行することを了承した。

 どうせ時間は有り余っている。

 街を見るのもいいだろうと思ってね。


 道中、オークが出れば3人は連携して倒していた。

 思った以上に強いね。

 そして驚いたのはマジック・バッグを持っていることだった。

 俺も欲しい~!!

 まあ、30cmくらいの俺ではバッグの方が大きいけど…。


 話を聞くと王都までは3日はかかるという。

 歩きで3日とは、生前の俺なら考えられないことだった。


 空を飛ぶと歩きより早くなってしまうので、今はキリルの肩に止まっている。

 空が青くて雲がゆっくり流れて行く。

 気持もなんだか穏やかな気持ちになって、ふと歌が口からこぼれる。


『君を愛するのは簡単だ。君が美しいから♬

 君と恋することが僕の願いだ。

 君を愛することは、夢を叶えることよりも大切なこと♪


 僕がすることはすべて、君を愛しているからだよ。

 他の誰も僕を感じさせてくれない♬

 僕たちが年をとる間、君のそばにいよう。

 そして僕たちは春の日々を生きていく♫


 毎日、僕の人生は君を愛することで満たされている♪

 僕たちが息をつくたびに、もっと君に恋してる。

 ララララララララ...ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ♬ 』


『Lovin' you…、ラララララララ』

「まあ、レオったら!!おしゃまさん」

 キリルは嬉しそうな顔をしている。


 それからキリルがせがむので思い付く歌を聞かせた。

 キリルが気に入ったのはデズモンドとモリーの歌だ。

 やはりラテン系の歌はノリがよくて人気だね!!

 俺は両手を腰に当て、首を左右に振り体をゆすりながら歌う。

 それに合わせてキリルも、腰を動かし陽気に歌い出した。


『デズモンドはマーケットで、手押し車を持っている♬』


 シューシュー、シューシュー、チチチ、チューチュー♪

 プシュプシュ、プシュプシュ♬チューチュー、チューチュー、


「おい、随分ノリノリだな」

「そうなのジャン。レオは歌が上手いの。それから口説き上手なのよ」

「なんだ、それは」

 そういいながらも、同じ歌ばかり口ずさんでいるのでジャンやラルフもいつの間にか覚えてしまった。

 道中娯楽もないのでみんなで歌いながら歩いて行く。


 余談だけど後日、王都ではデズモンドとモリーの歌が大流行することになる。

 吟遊詩人が歌う単調な詩よりも、リズムがあるノリのいい曲がうけたのさ。

 恋人たちはデズモンドとモリーを自分たちの名前に置き換え愛を語り合った。


「あと少しいけば村があるはずだ。そこで今夜は休もう」

 そういいながら進んでいくと、村の方向から煙が上がり逃げ惑う声が聞こえた。


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