第21話 名持ち

 タタタタンタタン♬、タタタタンタタン、タタタタンタタン♫、タン♪

 誰もいないウニ…。

 二人の愛を確かめたくてぅ~い。

 ゲフン、ゲフン。


「まあ、可愛い!!さあ、なにもしないから、怖がらないで」

 しまった!!

 冒険者のアンジェラと勘違いして、お姉さんの肩に止まってしまった。


「2人共、剣をしまって。この子が本当にロックちょうを倒したのなら、私達では敵わないわ」

 魔術師のお姉さんが剣を抜いた二人に話しかける。

「もう安心よ。怖いおじちゃん達には、剣を収めてもらったからね」

 そういうと魔術師は微笑む。


「あなたは何?ロックちょうを倒したのはあなたなの?」

「キリル、そんなことを聞いても魔物は答えられないよ」

 男の一人がそういう。

 キリルというのかこの人は。


『プシュプシュ、キュッキュッ』

「ほら、何か言っているわ、聞いて」

「ただ鳴いているだけだよ。しかしどうしようかこの子…」

「捕まえるのは無理なら、このまま一緒に王都に行くのも無理だな」

「私達は王都の冒険者よ。空飛ぶ魔物が人を襲うと依頼があって調査に来ているのよ。それをあなたが倒したのかな?」

「だから無理だと言っているだろう」


チューチューそうだよクククプツプツ挑まれたからね

「まあ、話せるのね」

「おいどうした、キリル」

「この子が話しかけてくれたのよ」

「まさか、夢でも見ているのかい?魔物が話せるなんて」

『失礼な!!俺は魔物じゃなくて神獣だよ』

「この子が怒っているわ。この子は魔物じゃなくて神獣だって」

「神獣だと?!」

「そうでなければロックちょうは、倒せないかもしれないな」

「だから話せると言うのか。しかしなぜキリルだけなんだ?」

 男二人が口論を始める。

 もちろん、女性だからですよ…むふふふ。


「私の名前はキリル。そしてあそこの二人がジャンとラルフよ」

『俺はレオだ。よろしく』

「まあ、凄い!!この子レオ君だって。神獣でも珍しいのに、しかも名持だなんて」

『そうでもないさ、エッヘン!!』

 俺は褒められ思わず胸を張る。

「なんだって!名持だって」

「えぇ、そうよ。レオ君よ」


「話せるというのが本当なら、王都まで一緒に来てくれるように話してくれないか」

「いいわよ。ねえ…」

『聞いてたからわかるよ。でも王都に一緒に行ってどうするの?』

「そういわれればそうね。どうしよう」

「何を話しているんだい」

「王都に一緒に行ってどうするのかと聞かれたわ」

「う~ん、そう言われればそうだな。まあ、魔物はレオが倒し、倒したレオも危険ではないことを証明することかな」

「それは良いかもしれないわ。私達はあったことを、そのまま報告する義務があるの。だからレオ君が無害だと分かれば、この国で自由にできるわ」


 そう言うなら仕方ない、しばらく付き合ってやるか。


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