第20話 出会い

 それは信じられ無い光景だった。

 大きな鳥の魔物がいきなり空から落ちて来たからだ。


 遠目では小さな鳥のようなものと戦い、次から次へと魔物は落ちて来る。

 そんなことがあるだろうか?


 キリルの魔法でも倒せるかどうかわからないのに。

 それも三体だ。

 どう見ても倒されたとしか考えられない。


 俺達は確かめるためにキリルに【駿足しゅんそく】の魔法を掛けてもらい、近くに落ちて来た一体に近付いて行く。


「おい、これはどういうことだ?」

 タンクのラルフが驚きの声をあげる。

 そこには体を変形させ、横たわる鳥の魔物が居た。

「まるで体中の骨を砕かれているようだ」

 俺はそう呟く。

「そうね、これは凄いわ。こんなの初めて」

 そしてキリルが鑑定を使う。

「この魔物はロックちょう、レベル38くらいね」

「38か、俺達が各自50くらいだから大したことは無いが、空の魔物相手に戦うのは難しかったな。誰かが倒してくれてよかったよ」

 ラルフが安堵したようにつぶやく。


「ではまず、こいつを収納していこうか」

 俺達は三人それぞれマジック・バッグを持っている。


「それ!!」


 スッ!!


「ふぅ、なんとか一人一体なら持ち帰れそうだな。よし次に行こう」



★レオ視点

 キィ~~ン!!

 俺は風を受け空に舞い上がる。

 そういえば魔物の死体はどうなるんだろう?

 俺にとっては不要なものだけど。


 魔物の餌?

 それとも冒険者の誰かが見つけ、『ラッキー』と言いながら素材を剥ぎとるのか?

 え?『ラッキー』とはなんだって?


☆説明しよう!!

『ラッキー』とは、運が良いと思う時に使う言葉だ。

 しかし今では使う人は殆どいない…。

 50~60代の世代の人が使った言葉。

『死語の世界へようこそ』、ワハハハハ!!



 あれ?

 突然、魔物の死体が消えた?どうしてだ。

 近くに行ってみると冒険者らしき男女が居た。

 収納魔法?

 羨ましいな。


 そして物凄い速さで彼等は、二体目の魔物のところに移動していく。

 魔法か?

 高速移動かな?

 このスキルもいいな。


 そんなことを考えながら俺は冒険者について行く。

 冒険者は三体の魔物を収納すると何やら話し合っている。


 そしていきなり剣士二人が剣を抜いた!!

 なにするねん!!


「動かないで2人共、落ち着いて」

 魔術師の女性がそう2人に言う。

 そうだぞ、短気は良くないぞ。


「さあ、なにもしないから、怖がらないで」

 そうだぞ、怖がるなよ!!

 というか、誰に言っているの?


 気がつくと俺はローブを着た魔術師の肩に立っていた。


 俺でした…、チチチ、カチカチ。


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