第15話 はぐれオーガ

 俺達はアンジェラの実家、マルタ村を目指して歩く。

 途中で変な奴らにからまれたが順調に旅は進んでいる。


 夜になり野営をすることになった。

 アンジェラは一人で心細いのか俺を抱きしめ寝て居る。


 う、動けん…。

 モモンガに転生してから、女性にこんなことをされても『ムフフ』な気持にはならない。

 仕方がない。

 アンジェラの寝顔を見ながら寝るか?


 そう思っていた時だった。


 ガサ、ガサ、ガサ、

  ガサ、ガサ、ガサ、


 草が揺れたと思ったら、魔物が出て来た。

 おい、離せアンジェラ。

 俺はアンジェラの手を振りほどき身構える。


 出てきたのは角の生えた魔物だった。

 身長はアンジェラより、はるかに高いだろう。

 身長30cmくらいの俺からすれば、もうそれは巨人と表現するしかない。


 どれ【スキル鑑定】!!

 種族:はぐれオーガ

 性別:オス

 レベル:18

 HP 300

 MP 50

 攻撃力 110

 防御力 151


 特徴:

 群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、 叩き上げのスキルだけが武器 。

 女性をさらい孕ませる婚活時期に来ている。



 オーガはアンジェラに気づき、近づこうとする。

 俺は飛び出し必殺技『ムササビ流星拳』の構えをする。


 解説しよう!!

『ムササビ流星拳』とは、ただ殴り掛かる拳法である。

 今のところ他に技がないので、格好をつけて技の名前を付けているのであった!!

 この技は…、えっ?解説は前に聞いたって?

 そんなこと言わないで!!

 て、誰と俺は話しているんだ?



 気合を入れ俺は暗い夜空に飛び上がる!!


 トゥォ~~!!


 モモンガライダーは転生人である。

 人類の自由の為に戦うのであった!!


 アンジェラはじっちゃんの名にかけて俺が守る!!

 どんな名前だ?


〈〈〈〈〈 グァオ~~~!! 〉〉〉〉〉


 オーガが求愛の雄たけびをあげる。


 こら!!アンジェラが起きるだろう!!


 いくぞ!!

『ムササビ流星拳』(小声)


「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!

 「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!

  「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!

  「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!

 「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!「「ドカッ!!


「アチョ~~~!!お前はもう痩せている!!」


〈〈〈〈〈 ライザップ~~!! 〉〉〉〉〉


 ドサッ!!


 魔物はそう言うと満足そうに倒れた…。



 チュン、チュン、チュン、

 チュン、チュン、チュン、

  チュン、チュン、チュン、

 チュン、チュン、チュン、


 燕のような小鳥が鳴く。


「おはよう!レオ」

「おはよう!アンジェラ」


「今日も良い日になりそうね」

「そうだね、さあ行こうか」


 マルタ村まであと少しだ。


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