第14話 幸か不幸か

「さあ、こっちへこい!!」

 男達が私達に近づいてくる。


 トウッ!!

 レオは私の肩から飛び立ち男の一人に連打を浴びせ吹き飛ぶ。


 ダッ!!

  ダッ!!

   ダッ!!

 

 ドガッ!!


「おい、どうしたんだ?」

「なんだ、このモモンガは?!魔物か?」


「レオ、できれば殺さないであげて!!」

『わかったよ』




★レオ視点

 アンジェラは優しいな。

 傷つけられたのに…。

 こんな奴ら殺しても良いと思うけど。

 特にこの世界は命が軽いようだから。


 しかし手加減するといってもね。

 こんな時、補助魔法が使えたらいいんだけど…。


 俺もMPがある以上は、魔法が使えるはず。

 しかし今のところ、魔法のスキルは無い。

 と、言うことは【スキル】スキル習得率UPがあるから、これから身につくということか?


 それなら手加減できそうな魔法をイメージして…。


 体に魔力が集まって行くのがわかる。

 体を包み込み何かか弾ける気がした。


 パ~ン!!


〈〈〈〈〈 風魔法エアバットを習得しました 〉〉〉〉〉


 やった~!!

 以前より風魔法は使えたが、これで手加減が出来る。


「 エアバット!! 」


 俺は男達に右手を伸ばし風魔法エアバットを放った。


「「ボンッ!!「「ボンッ!!「「ボキッ、「「ボンッ!!

 「「ボンッ!!「「ボキッ、「「ボンッ!!「「ボンッ!!

  「「ボンッ!!「「ボキッ、「「ボキッ、「「ボンッ!!

  「「ボンッ!!「「ボンッ!!「「ボキッ、「「ボンッ!!

 「「ボンッ!!「「ボキッ、「「ボンッ!!「「ボンッ!!

「「ボキッ、「「ボンッ!!「「ボキッ、「「ボンッ!!


 この魔法は文字通り圧縮した空気をぶつける魔法だ。

 よくて打撲、悪くて骨折くらいで済む。

 これを『殺さずの魔法』と名付けよう…、むふふふ。


「うわ~!!」

「ぎゃ~!」

「痛てえ!!」

「あ、はあ、はあ」


『安心せえ。命までは取らぬ。むほほほほ!!』



『アンジェラ行こう』

「もう大丈夫なの?」

『あぁ、手加減はしたから』

「そう、それならよかった」

『しばらくは動けないはずだ。これに懲りて二度と変な気は起こさないだろうよ』

「そうだといいけど…」


 俺達は襲って来た男達を置いて道を進んだ。




 その後、襲って来た冒険者達は、二度と変な気は起こさなかった。

 いいや、起こせなかった。


 男達が発見された時、あばら骨が折れている者が多かった。

 中には手足の骨がへこんだり、一部が欠けている者もいた。


 そして街に運ばれ、ろくな治療もできないまま骨が再生。

 その後は不自由な体になってしまった。

 だが男達は誰一人、どうしてそうなったかは口に出さなかったと言う。


 手加減されたことが幸か不幸だったのか…。


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