第18話 エリアサーチ

 あぁ、そう言えばアリッサさんに渡すものがあった。

「アリッサさん、これどうぞ」

「え、なあに?」

「お約束をしていたブルーベリージャムです」


〈〈〈〈〈 えっ、ブルーベリージャム!! 〉〉〉〉〉


 その瞬間、全ての受付嬢の手が止まり、一斉に俺の方を向いた。

 アリッサさんを見ると、なぜか勝ち誇ったドヤ顔をしている。

 そして周りを見渡しながら、

「ジャムを頂けるのね。でも私、年上だし…。それに出会って間もないから」


 いったい、どうしたんだ?


「こんな短時間で私に…。ここまでのアプローチをするなんて」


 ・・・・・・・・?


「こ、これではさすがに。あぁ堕ちてしまうわ、私」


 これはあれか?突然、始まる一人芝居か?


 アリッサさんはジャムの入物を胸に抱きしめている。


「エリアス君。私の分もあるのよね?」

 オルガさんが横に来て聞いてきた。


「えぇ、もちろん。オルガさんの分もありますから」


〈〈〈〈〈 えっ、他の人にもあげるの?? 〉〉〉〉〉


 オルガさん達2人はなぜか腰に手を当て、自慢げに周りを見渡していた。




「では、行ってきます」

 ギルドを出る時、コンラードさんと目が合い親指を立てられた。なんだ?



 街を出てアスケルの森に向かっている。

 ウィルムは比較的、湿った湿地帯にいるらしい。

 討伐依頼も大変だ。

 どこにいるのか分からない魔物を探すのだから。


 ギルドを出てからオルガさんの態度が、なにか変だ。

 歩いている時に急に腕を組んできた。

 森の中ですけど、警戒しなくていいの?


 時々、胸が腕に当たってくる。

 ブロンズアーマー越しのタッピングは、やや硬いがそれはそれでいい。

 そうだ試してみよう。


「ちょっと試したい事があるんだ。いいですか?」

 俺はそう言って立ち黙った。


「試したい事?こんなところで?発情したの?どこの尻尾が当たっているのかな」


 違うわい!


「違います。魔物のウィルムを見つける方法です」

「ウィルムを見つける方法?」

「はい、ちょっと待ってくださいね」


【スキル・鑑定】発動!

 カスタマイズ開始・ ・広範囲に変更… … カスタマイズ完了!

 俺は足元から前を向き遠くを見つめた。

 うっ、情報量が多すぎる。

【高速思考】開始!!


「すみません、オルガさん。早く見つけられそうです」

「どうしたのエリアス君」

「はい鑑定の範囲を、広げながら歩いています」

「えっ?鑑定できるの」

「はい、俺は鑑定ができます。それを応用して鑑定の範囲を広げ周りを探すんです」

「はい??」

「どんな魔物も魔石を持っています。今はそれのみを鑑定眼で探しているんです」

「なんか疲れそうだね」

「それが難点です。それと注意力が散漫になりますから、警護をお願いします」

「分かったわ」



 ウィルムが居そうだと聞いた湿地帯に近づいてきた。


 いた、魔石の反応がある。


「止まってください。ウィルムかどうかは分かりませんが、魔石の反応があります」


 俺とオルガさんは剣を抜き構える。

 俺は魔石の反応がある方向に進み、クレイモアを振りかぶった。


 ドサッ!


 何かに当たる感じがして、俺は飛びのいた。

 腰ぐらいある藪の間から、首回りくらいの太さがある蛇のような魔物が出てきた。

 ウィルムだ!

 そしてオルガさんが首をはねる。

 今回は極力、魔法は使わず剣だけで倒すことにした。



「オルガさんあそこです!俺はこっちに行きます」

 ドスッ!ドスッ!

「あぁ、そっちによ」

「任せて!」

 ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!


 こんなに魔物っているものなのか?凄いな。


 それから俺達は一休みした。


「なんか、思った以上にいますね。驚きましたよ」

「えぇ、私もこんなにいるなんて驚いたわ」


 それからもウィルムを狩り、11匹討伐したところで帰ることにした。

 やはりパーティーは良い。

 攻撃できる人数が多い方が効率が良いからだ。

 今回のこの能力を『エリアサーチ』と名付ける事にした。




 帰りはオルガさんとまた腕を組み、胸をグリグリしてくる。

 うふふふふ。

 ちょっと、汗をかいた臭いがたまらなかった。

 筋肉質の胸も良いな、なんて。



 そして冒険者ギルドに戻ってから、衝撃の事実を知るのであった。


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