第17話 パーティー結成
振り向くとそこには、オルガさんが居た。
「あら、エリアス君。ウフッ、来ちゃった」
「ご一緒してもいいかしら」
「はい、どうぞ。一体どうしたんですか?」
「丁度、前の宿の契約が今日までだったから、この宿に泊まることにしたのよ」
「そうだったんですね」
「明日からの予定はどうなってるの?」
「俺はまだFランクですからね。ゴブリン討伐、薬草採取がメインですよ」
「なら私とパーティーを組まない?私はAランクだから、依頼の幅も広がりいい経験になるわよ」
「それはそうですが」
「それに攻撃専門の人が欲しいて、言ってたでしょ」
「まあ、そうですね」
「エリアス君がタンクで防いでる間に、私が攻撃して仕留める。そして駄目なら2人で攻撃をすればいいし」
「う~ん、そうですね。AとFランクではあまりにも、バランスが悪くありませんか?オルガさんの負担が多くなりますよ」
「それは大丈夫よ、それに虎猫族は受けた恩は忘れないのよ。どうなの?」
な、なんと!
でもここまで言ってくれるなら。
「では、お試しと言うのはどうでしょう」
「お試し??」
「はい、うまくやっていけるのか実際に試してみるのです」
「結婚前のお付き合いと同じね。いきなり一緒に、暮らしてもうまくいかないから」
「そ、そうかもしれませんね。ははは」
例えが違うような気がするけど、そんなところだよね。
そして俺達は明日から、一緒にパーティーを組むことになった。
翌朝、俺達2人は冒険者ギルドに向かった。
オルガさんがいるのでいつもより早い時間に出たが、こんなに混んでいるとは。
壁の依頼書を見ると違いはあれど、討伐か採取の依頼に分かれる。
討伐は金額が高くなるが危険が多く、採取は危険は少ないが金額も少ない。
危険とお金のラインをどこに引くかだ。
「ねえ、エリアス君。これなんかどう?」
オルガさんが依頼書を指出す。
「ウィルム討伐。蛇の魔物。皮採取。状態により1匹,8000円からか」
「う~ん、良いんじゃないかな?」
俺にはどれが良いのか、なんてわからない。
まずは受けないと。
「それにしましょう」
依頼書を片手に受付に行こうとすると、コンラードさんが居た。
「コンラードさん、お早うございます」
「あぁ、この前のあんちゃんか」
「俺の名はエリアスです」
「わりい、わりい。エリアス君だね。どうしたんだい、獅星龍なんて連れて」
「獅星龍??」
「私の
オルガさんが少し照れている。
「獅星龍オルガと言えば、ちょいと有名だからな」
「はあ、そんなに強いのですか」
「もちろんだ。そんなエリアス君が、どうして獅星龍と」
「パーティーを組んだんです」
「パーティーを組んだ?」
「お試し、てやつです」
「あははは!お試しか。そりゃいい。獅星龍もいつまでも、1人でやって行くのは無理があるからな」
「コンラード。相変わらずお前は面倒見が良いな」
「コンラードさんも、有名なんですか」
「私と同じAランクだからな。こんな小さな街だ、C以上は少ないからね」
「俺はこの街に来たばかりだから、知らなかったのか」
「まあ、頑張れよ」
「はい、ありがとうございます」
そう言うとコンラードさんは、俺達から離れていった。
ウィルム討伐はDランクの依頼だ。
Fランクの俺では受けることは出来ない。
だがAランクのオルガさんと一緒なら受ける事が出来る。
そして俺がオルガさんと組むとギルドの担当は、オルガさんの担当者となり、アリッサさんではなくなってしまう。
なにか他の女に乗り換えたようで、悪い気がする。
オルガさんが依頼書を片手に受付に向かう。
担当はコルネールさんと言う女性で年は20歳くらい。
髪は赤みがかった金色で短く、スポーティな感じの人だ。
コルネールさんの隣がアリッサさんだ。
一言挨拶をした方がいいのか迷っていると、アリッサさんから声を掛けられた。
「エリアス君。ちょっといい?」
「はい、実は一時的ですが、オルガさんとパーティーを組むことになりまして」
「そうなの。君もソロだと無茶しそうだから、それもいいわね」
「はい、自重します」
「それから嬉しいお知らせよ。ギルドランクがFからEに上がったわ」
「えっ、Eにですか?でも俺、登録したばかりですよ」
「トロールやバグベアを、人の力を借りてとはいえ倒しているんだもの。当然よ」
「おぉ、ではDランクの依頼も受けれるんですね」
「そうよ、だから今度は私の方で受付してね」
「えっ????」
さっきまではFランクだったので、オルガさん経由でないとDランクの依頼は受けれない。
でも今はEランクになったから、俺でもDランクの依頼は受けれるようになった。
だから俺メインに依頼を受ける時はアリッサさん、オルガさんメインならコルネールさんで受付してほしいと遠回しに言われているような気がする。
「分かりました。今後はコルネールさんと交互で受けようと思います」
「そう、分かってくれて良かったわ」
あぁ、そう言えばアリッサさんに渡すものがあった。
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