第一話超心理学のあらまし⑮


天之御中主神は『古事記』では冒頭の記述において天地開闢の時に最初に現れた神であるとされている。


天地初發之時 於高天原成神名 天之御中主神 次高産巣日神 次神産巣日神 此三柱神者 並獨神成坐而隠身也


鎌倉時代末の天台宗の学僧で伊勢神道に通じた慈遍による『豊葦原神風和記』では、天御中主尊は天地開いたときに生まれた神で、またの名を豊受皇太神であるとしている。


平安時代の『延喜式神名帳』には天之御中主神を祀る神社の名は記載されておらず、信仰の形跡は確認できない。この神が一般の信仰の対象になったのは、近世において天の中央の神ということから北極星の神格化である妙見菩薩と習合されるようになってからと考えられている。現在、天之御中主神を祀る神社の多くは、妙見社が明治期の神仏分離・廃仏毀釈運動の際に天之御中主神を祭神とする神社となったものである。


天之御中主神は哲学的な神道思想において重要な地位を与えられることがあり、中世の伊勢神道では豊受大神を天之御中主神と同一視し、これを始源神と位置づけている。江戸時代の平田篤胤の復古神道では天之御中主神は最高位の究極神とされている。


また水天宮も天之御中主神を主祭神の一つとしている。


それを祖神、氏神うじがみにした系譜にあるのが尾中氏おなかしと呼ばれる。


現福岡県である筑後国が発祥。平家物語に記述されている、近年、福岡県筑紫野市に多数みられる。関連姓は尾仲氏。


一年朱雀組の担任は尾中月影おなかつきかげだ。


運動場、そこに銀色の少し上に立つためにあるところに彼は立って、マイクを握る。


拡声器により、彼の声が響き渡る。


「そこまでだ!ここまで生き残った人間を本試験合格とする!お疲れ様でした!」


授業が唐突に終わってしまったのである。


そして、彼は職員室で美陽院明影と話す。


「少し死にましたが、まぁ、半信半疑で治療してみたら数人は生きていましたな、虫の息でしたが、根性はまだ残ってました」


尾中月影はそんな事を暗い面貌で言う。


およそ、この世の酸いも甘いも知りつくし過ぎた挙げ句の果て、諸行無常を実感している面構えであり、仏教の大僧正にも見える。


「ふむ、まぁ、うちの生徒も中々凄かったでしょう、他の白虎、青龍にも骨のある生徒はいると言ってましたが、全員本気だったのはむしろこちらのクラスメイトでしょう」


そんな美陽院明影に尾中月影は釘を刺す。


「ふむ、決して自分のクラスメイトも遅れを取らなかったと言えような、しかし、ふむ、二時間目にするには速かったような」


そして玄武組の次の授業は歴史である。


それは皇歴について教えるという、日本と世界との関係性、世界情勢、つまり地政学。

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