第一話超心理学のあらまし⑥
新田真絆はその羽交い締めを全身をまるで蛸のように無理矢理骨を脱臼、外すという要領で脱出する事に成功する。
暗呑王牙はその有り様に口笛を吹く。
そして、新田真絆の木刀もまたその全身を弛緩させた動きから無軌道に放たれる。
「ナッッッ!!」
これが、彼の特殊な一子相伝の暗殺剣か。
それは既視感こそあるが
能力名、
剣道という枠組みから大きく外れている。
それでも暗呑王牙はスウェーでかわした。
当たっていれば首の大動脈どころの騒ぎではない、首ちょんぱというのが起こる。
「首ちょんぱ」とは斬首を表現した言葉。 正確な語源は不明だが、広まったきっかけは1970年代に制作された「ザ・ドリフターズ」を題材にした玩具「首チョンパ人形」とされる。 トンボ鉛筆を1ダース買うと貰える景品であり、CM内で流れた「♪トンボMONOで首チョンパ」というフレーズが子供達の間で流行した。なんて時代だ。
それでもなお、また無軌道な斬撃が来る。
それにまた暗呑王牙は白刃取りを一瞬、考えたが、その太刀筋は一回前と違う。
「お前は乱入するな」
暗呑王牙の背後でナイフを舐めて自らの体液という毒を濡らした小太刀を出している女、それは忍者、くノ一なのであろう。風土病もなく風邪でもないのにマスクをしている。
「
それに声をかけたのは覇瀬天狼だ。
「私はほんのちょっぴり苦しめるだけ、これも単なる麻痺毒、ありきたりじゃない?」
彼女はそんな事を言うが毒の種類が違う。
「それもまた超越的な地獄だ、善悪の彼岸を越えて能天気な善悪二元論者は駆逐させてしまいそうな獰猛が極まっている」
それに彼女はこう返した。
「はっ!アリス・クーパーなんてのが流行ってたのは随分前だが、哲学者肌は嫌いでね、乙女心を哲学する、世界一無駄な時間だね」
覇瀬天狼はそれを聞いてまた気配を完全に殺し始めた、ステルス状態、スニーキング、それは
派手な兄弟に比べては地味である。
それもまた暗殺に向いている。
いつの間にか朱雀組の死体が増えている。
「‥‥‥‥」
それでもなお、彼は歩みをやめない。
進むことをやめない。
それどころか空中にクラウチングスタートめいた構えから反重力により一気に亜音速になる、ジェット気流すら生まれた。
彼の持つ木刀の色は漆黒であった。
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