第4話 改装後の晶子
丸椅子に座っているのは黒髪の少女。見た目の年齢は思春期の17歳程度であろうか。殆ど人間といってもよい容姿の彼女だが、その瞳の奥では機械部品が常に稼働している。この瞳の確認こそが、外観から彼女をアンドロイドだと判別できる唯一の方法となる。
「君の名は?」
「
「型式と機体番号」
「基本コンポーネントは綾瀬重工製RHevo.シリーズNo.1020。機体番号RHEV-990077005。アップグレード番号TKB-0092」
晶子の回答に球磨が頷く。
「はい。よくできました。笑って」
「いきなり笑えません」
「命令は絶対よ。さあ笑って」
「あははは……」
突然の命令に戸惑う晶子だが、その様を球磨は微笑みながら見つめている。
「よし、合格」
「これで合格なのですか?」
「そうね。笑えと言われてその場でゲラゲラ笑える人間なんて殆どいない。そういう恥じらう反応が大事なのよ」
「ありがとうございます」
球磨が晶子の改造に着手してから一週間が経過していた。筐体は落ち着いた30代程度の外見から思春期の少女へと変更されている。本日、球磨は最終の動作確認を行っていた。
「ちょっと触るよ」
「え? 何ですって」
「だから、胸を触る」
球磨が晶子の胸に手を伸ばした。薄手の検査衣を羽織っただけの晶子は肩をこわばらせて体を横に向けようとするが、球磨はお構いなしに晶子の胸に触れた。最初は軽く、次第に乳房をやわやわと揉みしだきその乳首をつまんだ。
「ああん。止めてください」
「どう? 気持ちいい?」
「やめてって言ってるでしょ。マスターと言えど本気で怒りますよ」
晶子は怒りをあらわにして球磨を睨む。その反応にも球磨は満足げな表情を浮かべた。
「ごめんなさいね。その反応が大切なの?」
「私の反応ですか? あ!」
突然、晶子は何かに気づいたようだ。
「あの……マスターに対して大変失礼な言動をしました。申し訳ありません。本来、私たちRHevo.シリーズは人に対して反抗的な態度を取る事など有り得ないのですが……現在……思考プロセスの再点検を行っておりますが……エラー……は……何も検出されていない……私は……故障してしまったのでしょうか?」
「大丈夫よ。ぜんぶ私の設定だから。それであなたは正常です」
尚も納得がいかないような顔をしている晶子の肩を球磨がポンと叩く。
「さあ、支度しなさい。今から納品です」
「はい。わかりました」
晶子はその場で立ち上がり、脇のテーブルに用意されていた衣類に手を付ける。下着をつまんだ晶子は恥ずかしそうに俯いてから球磨に問いかけた。
「あの……下着から?」
「もちろんよ」
「恥ずかしいのですが」
「動作確認します。その場で身に着けてください」
「わかりました」
淡いピンク色のショーツとブラジャーを身に着ける。そして白いニーソックスとブラウス、続けて紺色のミニスカートをはきブレザーを羽織る。そして最後に、晶子は棒ネクタイを器用に結んだ。思春期の女子高生にしか見えない。その姿を満足そうに見つめる球磨だった。
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