第6話 二重発動
「身体強化、二重発動」
その瞬間、繰り出された悠馬の蹴りが常識ではあり得ない速度まで加速する。
幸は慌てて魔力障壁を発動させようとするが、その時既に合成魔法を放つ寸前だった事もあって防御が間に合う事はなかった。
腹部に悠馬の蹴りを食らった幸は大きく吹き飛び、フィールドの外の芝生へと転がっていく。
静まり返った会場中で最初に口を開いたのは流石実況者と言うべきか──蒼歌だった。
《「し、し…試合終了〜‼︎桜田君場外により勝者、久遠悠馬‼︎」》
──会場中が熱気に包まれる。
「おまえすげぇよ!見直したぜ‼︎」
「あの子本当に一年生なの⁈」
固有魔法を持たない悠馬の勝利、誰も予想してなかった大番狂わせを起こした悠馬へ賞賛の声がスタンド席全体からかけられる。
その中でも茜は泣きそうになりながら「悠馬ぁぁぁあ‼︎‼︎」と叫んでいた。
(俺は…勝った…のか?)
呆然としている悠馬の元に起き上がった幸が駆け寄る。
「俺さ…正直お前の事舐めてたんだ、本当にすまない…‼︎」
「…大丈夫だ、気にすんなよ」
頭を下げる幸に、気にするなと悠馬は声をかける。
2人はお互いにニヤッとした後固く握手を交わし、その後スタンドへと帰って行く。
その頃解説席では蒼歌と遥が試合の振り返りをしていた。
《「いや〜凄かったですね…遥先輩、悠馬君のアレ、分かりました?」
「おそらく…身体強化の二重発動ですね。まさか会得していたとは私も知りませんでした…」
「遥先輩、二重発動の説明を…」
「そうですね、合成魔法…属性魔法の2属性同時発動とやっている事自体は一緒で、同じ基礎四魔法を2つ分同時に発動するという認識でいいと思います。二重発動すると魔法の効果は単純に上昇しますね。」
「私から少し補足させて頂くと、二重発動は現在も基礎四魔法でしか実現できていません。属性性魔法でやろうとすると爆発して腕が吹き飛ぶようなので皆さんは試したりしない様お願いします。では、次の試合は…10分後にセレナ=アレストレアさんと緋村天馬君の試合です!…あれ、アレストレアって…」
「…きっと校長先生の血縁の方でしょうね、、」
「あの校長先生の血縁の方が弱いはず無いですから楽しみですね!対して緋村天馬君はデータが少ないのでどんな戦いを見せてくれるのか分かりませんが…それでは皆様、10分後にまたお会いしましょう!それでは第三試合、実況は千島蒼歌と…」
「解説は久遠遥でお送りしました!」
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