第2話 すごいとっくん
「ただいま〜…え?」
「おかえり、ユウ君」
学校が終わり帰ってきたた悠馬を玄関で遥が迎える。
もうお馴染みとなった光景だが、悠馬はいつもと違う事に気づいた。
「ね、姉さん…?なんで木刀もってるの…?」
「あ〜これね、ほら、もうすぐ競魔会でしょ?だからそろそろ実践形式でユウ君の事鍛えようと思って」
「ま、まじ?よろしくお願いします!」
嬉しいんだな…とソワソワしている悠馬に心の中で苦笑しつつ遥は頭の中で今日は何をしようかと考えを巡らせる。
「よし、じゃあ道場いこっか!」
ー久遠家 道場ー
(久しぶりに入ったな…)
久遠家には道場がある。主に遥が剣の鍛錬の際使用しているが魔法の練習も出来るだけの設備と広さもある。この道場の土地、建物、設備は全てロドニア王国が『剣聖』の為に用意した物である。
制服から動きやすい服に着替えて道場に入る。
(あ、あそこで姉さんとチャンバラごっこしたっけ…)
もう2、3年はここに入ってもいない悠馬が感傷に浸っていると
「ユウくーん、準備出来た〜?」
同じく動きやすい服──3ーAと胸元に書かれた体操服に着替えた遥が木刀を一本もって歩いてくる。
一本だけ?と悠馬が疑問に思っていると
「じゃあ今日のメニューは…?……じゃん!基礎四魔法でーす!」
「質問!なんで剣術じゃないの?」
「ほう…いい質問だね悠馬君…その心は?」
「俺はその…固有魔法がないから魔法では他の人に勝ち目がない…だから魔法以外の所で勝つしかないんじゃ⁇」
(よく考えてるじゃん…!でも、まだまだだね…)
遥は思っていたたより深く勝つ方法を考えていた悠馬に驚きつつもまだ甘いという感想をもった。──ただ、この先もしかしたらユウ君は化けるなという予感も感じていたが。
「それはね…剣術にとって魔法、特に基礎四魔法は必須級の技術だからだよ」
わけが分からないと言った様子の悠馬に遥は説明を始める。
「剣術には基礎四魔法…全てが大きく関わってくるの。例えば…『身体強化』で瞬発力を強化すれば素早く間合いを詰める事も、相手の攻撃を躱す事だってできる。遠距離の敵には『魔力弾丸』撃ったりするとか。『物質強化』を使えばこの木刀でも…」
遥はそう言うとどこからか厚さ10cm程だろうか──鉄板を持ってくる。
次の瞬間悠馬が認識できたのは遥が鉄板を軽く投げた事、遥が魔法を発動させた事、そして真っ二つに割れた鉄板が床にドスンと音を立てて落ちた事だけだった。
「…今やった様に鉄板を切れるようになりまーす!」
「姉さん…俺もこんな風にできるかな…」
自分とは次元が違う、と自信なさげにしている悠馬に遥はただ一言
「大丈夫!出来るまでやらせるから‼︎」
(あ…俺、死ぬかも、、)
悠馬は人生で初めて目の前で無邪気に微笑む姉を恐ろしく感じた。
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特訓回はもしかしたら書くかもしれません…(多分書かない)
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