第4話

痒みはかくと、もっと痒くなる。

痛みは慣れれば快感になる。


その男は、「もっと強く…」と何度も繰り返す。

その度にねっとりとした、血液混じりの体液がアナルに入れた手首のゴム手袋から滴り落ちる。

これでもかと、言わんばかりに拳をぶっ込まれたその穴は、もう、拳でも満足はなかなかしないのだ。

拳を入れる時の、吸着感。

最初は一本、次に二本、ローションをダラダラに右手に垂らし、四本でしばらく出したり入れたりを繰り返して、親指も掌の中指の方に折り込みくっつけて滑り込ませる。

それを、繰り返し穴がある程度広がったら手を拳にして、しばらく中指を真ん中にして、グリグリ回して少しずつ少しずつ広げていく。

ある程度柔らかくなったらゆっくり、ゆっくり、拳が吸い込まれる所まで進んでいく。

あくまでも、ゆっくりだ。

拳がある程度入っていくと、吸い込まれる瞬間がくる。

そう、便が出るのと反対に、入っていく感じだ。

私の手もある程度の苦しさが感じられるくらいに、狭い入り口に変わって、中はとても広かった。

既婚者のこの男は普段どんな顔で、奥さんとsexをして、職場でも普通に仕事をしているのだろう。なんて、頭をよぎる時がある。


もちろん、浣腸は事前に済ませてある。

この男は、常連というか、これでしかイク事が出来ないのだから。

アナルでイク時は、勃起もなしで射精する。

そして、何度でも絶頂を迎えられる。

女性よりもしかして、気持ち良いのかもしれないこれは。

信頼と秘密で成り立っている。

行為としては、とても危険な事だ。

その引き換えに、この男は誰も知らない気持ちよさを迎えられる。

最初のアナルに指を入れられた痛みなど、もう、とっくに忘れているだろう。

プレイが始まって、2時間ほど経つだろうか…

その前の、浣腸やアナル拡張の時間をたすと3時間では効かないだろう。

そんな準備にも勝るこの絶頂を、どう説明出来るのか、やった本人しか味わえない気持ちよさとは。

味わえた者は、勝者なのだろうか。

本人にも聞いてみたが、返事は簡単に「気持ちいいですよ。」と普通だった。

行為が終われば、普通に話せる普通の男性だった。

SEXとは、何なのだろうか?

子孫を残す、行為だとしたら、気持ちよさは他にみつけてもよいし、病院でそれだけ、植え付ければ良い。

気持ちよさは、人それぞれ違う。その中の一つが、SEXなのではと私は思う。

この話は、まだまだ考えなくてはない、私の課題である。


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