第2話

電動バイブ、ローターに、縄、バラセン、ムチ、赤の蝋燭、ガラスの注射器、医療用のゴム手袋、コンドーム、ローションにイソジン、グリンス。

アイマスク、手枷、足枷、猿ぐつわ、乳首クリップ、コスプレ、ストッキング…

まだ、まだSMのお道具はある。

ヒールもブーツも必要になってくるし、大量の荷物になる。

これに、アナルの道具も入ると相当の重さになる。

もし、職質されても恥ずかしくもなくこれを差し出せる。

職業SM女王様

貴方は、その愛され方で満足出来ているのでしょうか?

笑っても、泣いても、気持ち良いのが身体にも心にも良い薬となる。

「そこの貴方、どうしたの?倒れるまで飲んだくれて。」

ピンクのスーツを着た女性が道端でゲロを吐いてうずくまっていた。

「ほっといてよ…。オエッ…、ゲーッ…」

背中をさすった。

「触らないでおぉ…おぉん、おぉん…。」

その女性はまるで男の人の声みたいな鳴き声をあげた。

そういえば、しゃがんでヒールを履いている、その女性はどう見ても、そんなに女性らしくはなかった。

ピンクのスーツだけがやけに目立って、人目を引いて、みたくもないその場を何人もの通りすがりの、仕事に向かう人達に見られた。

「まだ気持ち悪いのかい?」

「うん、少し休めば大丈夫。」

ピンクのスーツの女性の背中をさすってしばらく一緒にいた。

べつに行く所もなく、暇だったし。

1番は、そのピンクのスーツの彼女に、着いて行きたくなる何かがあった。

フラフラと彼女は下を向きながら歩き出していた。

私はその肩を支えた。

ハンカチを渡すと、そのハンカチで口を押さえた。



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