第4話

目を覚まし、どれ程時間が経ってしまっただろうとぼんやりした頭で考える。みかんピラミッドの横に、置きっぱなしだったスマホを見つけ電源をつける。幸い、30分くらいしか経っていなかった。

さて、今度は自分のご飯を用意しなければ……。キッチンに向かおうと立ち上がったところで、両脇の温かさが無くなっていることに気づいた。こたつを覗くと中に三匹の愛猫が丸まっていた。


正気に戻ったのは自分の前に空になった食器が並んだ頃だった。

呆然としたまま冷蔵庫を開け、食材を切り、盛り付け、食べたらしかった。我ながら器用だ。

知らずに満腹になっていた腹をさすりながら振り返れば、原因となった者たちと目が合う。

先程までニャーニャー、シャーシャーやっていたが落ち着いたらしい。


三匹を放置するのは少々心配だったが、どうしても一人の時間が欲しくなった。風呂に入り思考を整理する。さて、当然だが今までこんなことはなかった。どうしてこんなことになったのか?見当もつかない。愛猫が増えて嬉しくないわけではないが、それが本当に愛猫なのか俺にはわからない。テセウスの船に近い思考だと思ったが、今回は増えているのだからまた違うか、いや何を持って愛猫とするかという問題だから間違いではないのか?とどうでもいいような考えしか出てこない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る