第3話

どうしたらいいかわからず、とりあえず持ってきた皿を床に置いた。二匹は全く同じタイミングでそれに飛びついてきた。腹が減ってはなんとやら、ということか。

先程までの様子とは打って変わって二匹して皿に頭を突っ込んでいる。

そっと二匹の頭を撫でてみると、両手に同じ感覚が広がった。


途中フードを追加したが、しばらくして満足したのか二匹は顔を洗い始めた。先程の緊張感はどこへやら。食事を通して変な友情でも芽生えたのだろうか。

どういう理屈で全く同じ姿の愛猫が二匹に増えたのかは知らないが、増えた一匹はこのまま家で飼うことも出来るし、誰かに譲ってもいい。だがその場合、最初からいた方を残したいというのは一般的な感覚だと思う。俺もそう思う。


どうしようか、などと考えながらこたつに入っている俺の両脇に寄り添う二匹。温かさにうつらうつらしてしまう。ああ、こんな所で寝たら風邪をひいてしまう……。しかしこれに抗える人間がどれ程居るだろうか。そんなことを考えながら心地よい眠りについた。

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