第2話

「え」

リビングに入ってまず見たのはもちろん愛猫だ。ただその様子は普段とは随分違った。普段は温厚、というより冷めた性格な彼が、今は背中を丸め、尾をふくらませ、全身の毛を逆立て、牙を剥き、爪を出し、シャーと低い音で威嚇している。


そんな普段とはまるで違う愛猫。


それが二匹。


向かい合ってシャーだのフーだのと威嚇し合っている。迷い込んだ猫などではないというのは、どちらの額にもついている傷でわかった。ノラの子猫だった頃、カラスか大人の猫にやられたのであろうその決して小さくない傷跡が、全く同じ位置で全く同じように両者に存在している。

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