増殖

藤間伊織

第1話

「おーい、ご飯だぞー」

いつもは待ちきれないとばかりにご飯ができるまで足元に引っ付いている愛猫が、今夜に限っては鳴き声一つ上げずリビングの方に居座っているらしいので、俺は声をかけつつそちらへ向かった。大方この間出したばかりのこたつに夢中になっているのだろう。毎年そうだ。

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