プロド
@tukemenone
第1話 連行
《2200年 8/27》
とても綺麗とは言えない空が広がっている。
ここはプロド・タウン。
排気ガスが充満する掃き溜めのような街、
衛生的に怪しい飯屋、性病だらけの風俗店
明らかに値段の安すぎる武器屋。
最低限の法律で守られているこの街は
なんでもありのならず者の集まりだった。
17歳の少年、タカハシ・ケイには
家族がいなかった。
幼い頃に父親、トオルと母親、レイは
旅行先で旅客機ハイジャックテロに巻き込まれ死亡。
その後、ケイを引き取った叔父のシグは
違法薬物の過剰摂取で14歳のケイを残し死亡。
それから3年間、ケイは犯罪に手を染めて
この街で生きてきた。誰の手も借りずに。
ケイ「たったの50ロンかよ!パンも食えやしねえ!」
ケイは通行人から盗んできた戦利品の
渋すぎる買取額に腹を立てていた。
それもそう、この街で違法に物を買い取っている男、
質屋のミス・デリートは、安く買い、高く売る
で有名だ。
そんな事しなくても現金を盗めば良いって?
近代化したこの世の中じゃ財布に顔認証パスが
付いているのが一般常識だ。もっとも紙切れとコイン
という古臭いシステムは昔から変わっていないが。
ミス「文句垂れるなら他を当たりな。まだ俺の方がマシな値段を付けてやってるってのに。」
ケイ「分かったよ!今度はアンタが大金をはたく様な
掘り出しモンを持って来てやるからな!」
ミス「その気で待ってるよ。」
この日も日常茶飯事だった。
この後起こる厄介な出来事を除けば。
ケイ「そういえば、最近ここら辺で物騒な連続殺人事件が起ってるらしいな。」
ミス「この街じゃそんな事ばっかりだろ。殺人なんてアリンコ踏み潰すくらいそこら辺である事だ。」
ケイ「それが、見つかる死体は全部女で、しかも服を脱がされてるんだってさ、気持ち悪いったらないね」
ミス「犯人もよっぽど溜まってたんだろう、こんな
ゴミ溜めに居りゃ無理もない。ガッハッハ!!!」
ケイ「アンタも相当だな… まあまた来るよ!ありがとな!」
ミス「おう、お前もまだまだガキだ。女と間違えられて掘られないようにな!」
そんなやり取りを終え、ケイが裏路地から
出たその時だった。
パトロール「タカハシ・ケイだな。連続殺人の容疑で少し身柄を預からせてもらう。」
ケイ「なんだよいきなり!俺は何もやってねぇ!放せ!」
パトロール「大人しくしろ!このガキ!」
パトロールがスタンガンに手を伸ばすまでそう時間はかからなかった。
ケイの全身に痺れが走ると共に、意識を失う。
目が覚めると、目の前には机と尋問官。
言うまでもなくそこは取り調べ室だった。
プロド @tukemenone
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