禁忌の道  お題 今年の道

東西南北にある森に数々の勇者が向かった。 そして多くが肉や木の実などを袋いっぱいに詰め込んで戻ってきた。しかし、西の道を進んだものは誰一人、帰ってこなかった。

いつしか、”禁忌の道”と呼ばれるようになった。

「なんで、あなたがあの道を行くの?」

「それは、そういう占いの結果だ」

「いっちゃやだ!」

「もう俺は決めた。帰ったら結婚しよう」

 彼女その日から夜になると泣いていた。

 彼女の父から西の道を行けば結婚を許すと言われたのが今年この道を選んだ理由だ。それは誰にも言えない。 女のためにまさか命を懸ける男だと思われるのが少し恥ずかしい。

何の問題もなくたどりついた西の森では黄金に囲まれた勇者たちが、自分の手柄にしようと死んでは生き返り再び剣を取り、殺し合いを繰り返す勇者たちの姿があった。

「帰りたい」

あの子の泣いてる顔がうかぶ。

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