疑わしい白さ お題 名前も知らない広告
町には知らない広告が増えた。何故なら、そう上の人間が決めたからだ。見ても何もわからない。よ~く見てもますますよくわからない広告。
自分たちに敵対的な如何なるメッセ―ジも警戒してどんな比喩や暗喩などを避けるために白だけの看板だらけ。
世界に争いはない。論争もない。とても静かなものになった。でも不思議と高級レストンの前に止まる黒塗りのリムジンから降りてくる上の人間を見るとなんても言えない気持ちになった。僕はレストランがよく見えるビルの窓を拭いていた。いつもいつも見る光景。平和な光景。一緒に働いていたい人はビルの三階から落ちて命はあるが、働けなくなった。
上の連中は平和そのもの。僕も平和だ。争いはない。でも幸せか? 幸せじゃない。
日雇いで看板の塗り替えの依頼がきた。白が汚れたのでさらに白く上から塗る。楽な仕事。
俺は魔が差した。
看板にはこう書いた。
なんて素晴らし世界でしょう。庶民はあなた達に感謝しております。こんなに白い世界。だからそこ悪は目立っつ。 悪はそこに収束している。
俺は誰にも頼まれず、望まれず、清掃活動をすることにした。 本当の世界を求めて。
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